全2980文字

創業以来の経常利益率の平均が約35%。高収益の中小製造業の代表格として知られるエーワン精密。日経トップリーダー・東京商工リサーチ共同調査による全国中小製造業利益率ランキングでは6位に入った。創業者の梅原勝彦相談役に高利益率を続けるポイントを聞いた。

ランキング 6
 エーワン精密 梅原勝彦相談役
不況期の投資で差をつける

(写真=栗原克己)

1970年に梅原さんが創業したエーワン精密は「コレットチャック」という部品で国内シェア60%を占めています。材料を削る工具を工作機械に固定するための部品ですが、なぜそんなに高い利益率を出せるのですか。今回のランキングでも全国で6位です。

梅原:エーワン精密の強みは、突き詰めて言えば、短納期を実現できる体制です。一般的に、お客さんは「品質」「安さ」「早さ」を求めます。工業製品では品質はあって当たり前なので、私は早さを売りにすることにしました。

 何しろコレットチャックが壊れてしまえば、機械が止まって、お客さんはものをつくれません。一刻も早く新しい部品が必要です。しかし、最近のお客さんはますます自社で部品の在庫を持たない傾向が強くなっています。機械が止まったら困るのに、予備を持たない。でも、止まったらすぐに部品を求める。そんなお客さんの「ムリ」に応えて、自分たちは食っているんです。

主力製品のコレットチャック。注文ごとに細かく仕様が異なる。半製品で在庫を持ち、注文に合わせて即座に加工し、注文の大半を当日出荷する(写真=栗原克己)

 エーワン精密は、午後3時に注文を頂いても、7割程度の商品は即日発送します。競合は数日から1週間かかるケースも多くあるようです。だからこそ、価格競争に巻き込まれず、適正価格で長く取引できるのです。

短納期を極めるために、何に取り組んできたのでしょうか。

梅原:この体制は一朝一夕では整いません。時間をかけて設備と人に投資を続けてきたからこそ実現しています。柱は2つです。

 1つは注文から生産までを効率的に素早く進める仕組みづくりです。エーワン精密は途中まで加工を終えた半製品(仕掛かり品)の状態で在庫を十分に持ち、注文を受けたらすぐに仕上げの加工をして出荷します。

 他社は当社に対抗するために、完成品在庫を持っていると聞きます。半製品から作り分けたほうが、必要な在庫の量は圧倒的に少なくなるから効率的ですが、そうしない。なぜか。エーワン精密ほどのスピードで受注から加工、出荷までをこなせないからです。