太陽電池で失敗

 過去には、付加価値の高い部品への進出がうまくいかないこともあった。

 2000年代半ばには、半導体製造装置と似た設備で利益増が期待できると見て、太陽電池製造装置の部品製造に向けて設備投資を進めた。

 ところが、08年のリーマン・ショックで太陽電池の市場環境が悪化。投資の回収が難しくなり、11年に私的再生の一種である「事業再生ADR」を申請した。

 「設備の充実を強調して仕事を取ることを急ぎ過ぎて投資が膨らんだ。その分、現場で働く人の育成がおろそかだった」と反省をした前田社長は、社員たちに基礎から金属加工の学び直しをさせる教育に力を入れている。

 製造は特注品ばかりなので、職人の腕の差が大きく出る。同じ部品でも1つ作るのに2日から1週間のばらつきが生じるという。全員が2日で加工できるようになれば、残業が減って利益を増やすことができる。

 加工のノウハウは、社内のR&D(研究開発)グループを通じて社内で共有することを徹底した。初めて受注した部品の生産などはまずR&Dグループのメンバーが手がけ、初めて扱う部品でよくある失敗、それを回避するための注意点などを把握する。そこで得た経験はマニュアルにして社内で共有。不良発生を減らし、材料コストの増加を抑えている。

製造ノウハウを社内で共有
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粗利を高める製造方法などは文書化し、社内で共有。貢献度に応じて成果給に反映する(写真:小森園 豪)

1社に依存しない

 1社の受注に依存することを避けるのも、コスト増を抑える知恵だ。取引の主導権が相手にあると、原価がかかりそうな「苦手な仕事」も引き受けざるを得ない。

 そのため、特定の会社からの受注が50%を超えそうになると、その会社以外の受注を増やす営業を強化。生産量全体を増やして、特定の会社への依存度を調整する。

 マルマエは、こうした原価上昇を防ぐ細かい工夫の積み重ねで高い利益率を維持している。

ポイント

デフレ時代こそ原価管理が大事

 「中小製造業の社長は、原価管理を何となくしているつもりになっている」。マルマエの前田社長は自らの経験も踏まえて指摘する。

 社員数人の企業ならば、社長が製品の原価をざっくり見積もって価格を決め、作り方を指示するという形でも何とかなる。しかし、社員が数十人まで増えると、社長の目は行き届かなくなる。

 デフレが続いて多くの製造業が利幅の薄さに悩む中では、マルマエのように社内システムを使った精緻な原価管理を積極的に取り入れるべきだろう。

 マルマエがシステムを整備したきっかけは、成果給を導入したこと。誰がいくら稼いでいるかを把握すれば、正確に成果給を分配できると考えた。社員一人一人がどれだけ会社の利益に貢献しているか分かれば、社員のやる気も引き出せる。

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