人口減少、デジタル化など、事業環境が大きく変わる中、新規事業を模索する中小企業経営者が増えている。頭を軟らかくするヒントをスタートアップの発想に学ぼう。今回登場するのは、部品を目視で確認する検品作業を人工知能で自動化するアダコテック(東京・千代田)の河邑亮太代表だ。

今月の起業家

アダコテック代表 CEO
河邑 亮太
(かわむら・りょうた)氏

1987年生まれ。2011年に一橋大学法学部を卒業後、三井物産に入社。DMM.comでの勤務を経て、19年7月にアダコテック入社。20年4月に代表就任

 部品を一つ一つ目視で確認し、傷や汚れを素早く見分ける検品作業は、製造業に欠かせない。ただし、小さな部品を1日中見続ける仕事は作業者の負担が大きい。

 AI(人工知能)による画像認識でこの検品作業を自動化するのが、アダコテックだ。

検品作業は作業に熟練が必要で、長時間続けるので目や体も疲れやすい(写真/アダコテック)
検品作業は作業に熟練が必要で、長時間続けるので目や体も疲れやすい(写真/アダコテック)

 アダコテックは2012年の設立。国立研究開発法人である産業技術総合研究所(産総研)の特許を事業化する産総研認定ベンチャーが前身だ。当初はトンネルの非破壊検査、商業施設の警備などの用途を探ったが、市場が広がらなかった。試行錯誤の中で見いだしたのが、自動車部品の検品だった。

 画像認識による検品の自動化を手がける企業は他にもあるが、アダコテックが持つ技術は、「一般的なディープラーニング(深層学習)を利用する企業に比べて、いくつかの点で部品の検品に適している」(河邑亮太代表)という。

画像認識が容易

 第1に、独自の計算方法により処理が少なくて済むため、アプリを普及品のパソコンで使えること。第2に、部品の情報を学習する手間が少ないことだ。

 一般的な深層学習では、数千~数万枚に上る画像をAIに見せて特徴を覚え込ませる「学習」が必要になる。また、深層学習では、異常を見つけるために、異常な部品の画像を何種類も学習させる必要がある。しかし、部品の歩留まりが高いと、異常な部品を集めるのに手間がかかるのだという。

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