M&A(合併・買収)業界に30年もいると大抵のトラブルは経験しますが、時には人生を木っ端みじんに吹き飛ばしかねないトラブルに見舞われます。

 前回、M&Aでトラブルが発生した場合に致命傷となる順番はヒト・モノ・カネと言いましたが、単純に金額換算するとモノに関するトラブルの被害が大きくなりがちのため、モノまわりへの注意も軽視できません。

 中でも被害が大きくなりやすいのは不動産関係です。あるホテルのM&Aでは、買収後に耐震の不備と違法建築が発覚。「あるべき場所に鉄筋が入っていない!」という耳を疑うような致命的なもので、建物の取り壊しなどに10億円近くを要する災難となりました。

 唯一の救いは買収したのがお客様ではなく、私自身が買い手として主導するプロジェクトだったことです。実は私の実家は建設会社でこの業界について決して素人ではないのですが、さすがにこれには参りました。

 ほかにも買収後に雨漏りがあり瑕疵(かし)担保責任の範囲を巡って数年間続く裁判になったり、断熱材にアスベスト(石綿)を使っていたため、その除去工事の費用をどちらが持つかで大もめしたりと、とにかく建物まわりのトラブルには悩まされ続けた苦い思い出があります。

 言い訳ではありませんが、こうした不動産を巡るトラブルは珍しくありません。M&Aは宅地建物取引業法(宅建業法)の縛りを受けないため、重要事項の説明が不要で、また現状有姿での引き渡しを原則とする一方、その確認をきちんと行わない買い手が多いからです。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り929文字 / 全文1588文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

特集、人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

ウェビナー【日経ビジネスLIVE】にも参加し放題

日経ビジネス最新号、10年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「日経トップリーダー」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。

ウェビナー開催 成田悠輔×安田洋祐 激論!「ビジネス+経済学」

 米グーグルなど最先端企業で経済学者の採用が相次いでいます。最新の経済学は様々なビジネス活動を遂行する根拠となり、確実性を高めることが実証されています。一方、日本に目を向けてみれば、仕事場でも「本当は防げる失敗」が繰り返されているのが実情です。

 日経ビジネスLIVEは日経BOOKプラスと共同で、7月19日(火)20:00~21:00に「気鋭の経済学者が激論『経済学はビジネスに役立つか?』」と題して、ウェビナーをライブ配信する予定です。登壇するのは米イェール大学助教授の成田悠輔氏と大阪大学大学院准教授の安田洋祐氏。本当に役立つ経済学を、ビジネスに取り入れるにはどうすればいいか。経済学の活用を通じて企業はどんなメリットを得られるのか。気鋭の経済学者による議論をお届けします。

■開催日:2022年7月19日(火)20:00~21:00(予定)
■テーマ:成田悠輔×安田洋祐 気鋭の経済学者が激論「経済学はビジネスに役立つか?」
■講師:米イェール大学助教授・成田悠輔氏、大阪大学大学院経済学研究科准教授・安田洋祐氏
■モデレーター:エコノミクスデザイン共同創業者・代表取締役・今井誠氏
■会場:Zoomを使ったオンラインセミナー(原則ライブ配信)
■受講料:日経ビジネス電子版の有料会員のみ無料(事前登録制、先着順)。

>>詳細・申し込みはリンク先の記事をご覧ください。