「起死回生のメガヒット」「どん底からの復活」──。
企業経営について我々メディアが取り上げるとき、どうしても分かりやすく派手な物語を求めてしまいがちだ。もちろん懸命に事業と向き合うことで、奇跡のヒットや復活劇が起こることもあるかもしれない。
しかし、感動的なストーリーが都合よく紡がれることはそうそうない。国内では人口減の影響が顕著になり、世界の情勢も不安定になる中で「逆転満塁弾」を放つのはますます難しくなっている。
経営は日々の積み重ねである。毎日の行動が1年後、10年後、100年後の会社をつくる。ただ、すべきであると分かっていることでも、毎日続けるとなると意外と難しい。それが当たり前のことであればあるほど、「そんな当たり前のことは言われなくても分かっている」と軽視しがちでもある。
だが、本当に強い企業ほど当たり前といわれることをとことんまで突き詰め、実行し、競争力に結び付けている。できそうでできていないことも多い「凡事徹底」の強さを考える。

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・「微差は大差」 細かな物流の質で業績伸ばす建材販売会社
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ナカザワ建販顧客と向き合う凡事徹底

住宅用の建材・住設機器などの販売や木造住宅用の構造材の加工などを手掛けるナカザワ建販(大阪府和泉市)は、顧客志向という商売の基本中の基本とも言える凡事を徹底することで、右肩上がりの成長を遂げている。中澤秀紀社長の父親で現会長の中澤伸文氏が1980年に新建材の販売店として創業した同社は、40年余りで売上高400億円に迫るグループとなった。2001年度から21年度の20年間で見ても、新設住宅着工戸数が110万戸台から80万戸台へと大きく減少する中、ナカザワ建販グループの売上高は5倍超に成長している。
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