必死に難題をクリア

<span class="fontBold">PCR検査の広告には、タレントの照英さんを起用</span>
PCR検査の広告には、タレントの照英さんを起用

 事業を思いついたのが7月20日、PCR検査サービスを始めたのは8月24日です。この1カ月間は毎日のように、新しい壁が目の前に立ちはだかりました。

 まず検査センターを置く場所を確保できない。どこも物件を貸してくれないのです。PCR検査機器も手に入らない。検査をする人もいない。ないない尽くしです。

 正直に言って、正攻法では超えられないことも多かった。例えば、検査機器の納品は、当初4カ月後だと言われました。「前金かつ現金で支払う」といった条件を出して、やっとの思いで入手したのです。

 保健所や医師会との対立もありました。検査を実施するには管轄の保健所に申請し、登録をしなければならないのですが、通してもらえない。

 自分たちの仕事が増えるのが嫌だったのかもしれません。求められた対応はすべて完了したはずなのに、「この資料を出せ」「あれを用意しろ」と、私たちからすると恣意的に思える妨害をされました。

 医師会からは保健所に「どうしてあのクリニックにPCR検査をやらせるのか」と多数のクレームが入ったといいます。

 現在、数カ所ある検査センターには臨床検査技師が常駐しています。彼らをサポートする検査スタッフとして働くのは全員、WiFiレンタル事業にいたプロパーの社員です。検査をするのは「臨床検査技師でなければならない」という法律はないからです。

 もちろん社員に無理強いはしていません。実際、最初は誰も手を挙げませんでした。みんな怖いから、やりたくないのです。しかし、数週間後「やります」という社員が1人現れると、次第に続く人が増えていきました。

 必死で駆けずり回る私の姿に、ほだされてくれたのかもしれません。検査スタッフ確保の問題はこうして解消されました。

 にしたんクリニックのPCR検査は来院の必要がなく、自宅で唾液を採取して送る仕組みです。いわば扱うものがWiFiルーターから検体に変わっただけなので、WiFiレンタル事業のコールセンターも物流も、PCR検査サービスに転用しています。

 これ以外にもたくさんのハードルがあるので、誰もがおいそれとはPCR検査に手を出さなかったのでしょう。

動かないと始まらない

 PCR検査サービスが軌道に乗ってきたのは11月の頭ぐらい、第3波が訪れた頃です。今年1月27日時点で累計検査件数は50万件を超え、今では毎日1億円ほどの売り上げになっています。

 ただ、PCR検査サービスはピークを越えたと思っています。この事業が廃れても、WiFi事業が再浮上するでしょうし、既に新事業の準備にも入っています。

 最悪の状態からここまで回復できたのは、人のせいにせず、自分を信じてリスクを取ったからだと思います。今はどんな壁でも超えられる自信がつきました。

最悪の状況から1年足らずでV字回復
WiFi事業大打撃からPCR検査事業立ち上げまで
<span class="fontSizeL textColRed">最悪の状況から1年足らずでV字回復</span><br /><span class="fontSizeS">WiFi事業大打撃からPCR検査事業立ち上げまで</span>
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(この記事は、「日経トップリーダー」2021年3月号の記事を基に構成しました)

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