社員に情報を隠す会社と、社員に情報を出す会社。一昔前ならどちらも成立したが、今や「ガラス張り経営」は必須だ。ただし、導入したものの、途中で挫折する会社も実は多い。ガラス張り経営の導入後に起きる混乱を整理し、それを未然に防ぐ方法、対処する方法を事例で考える。

(写真/PIXTA)
<特集全体の目次>
・GMO 熊谷正寿氏「給与の公開直後は大混乱も、今の私にはストレスがない」
・未来志向の会社は情報を公開し、過去にこだわる会社は情報を隠す
・情報をオープンにしたら多額の交際費がばれる?
・他部門の数字に関心を持たない社員の意識をどう変える?
・経営数値を共有するのは無意味?
・中途社員との賃金格差を表沙汰にしたくない


3年の調整期間。さらに制度を毎年見直す
アルプスピアホーム(注文住宅メーカー)

生え抜きで優秀な社員のほうが、中途採用の社員より給与が低いと社員の間から不満が続出し、士気が下がる──。人事制度でありがちなトラブルをどのように解決するか。

 最後の事例は給与のガラス張りに関するものだ。デリケートな問題だけに細心の注意が求められるが、ここをクリアすれば社員の働き方は大きく変わる。

「給与をオープンにして公平性を高めた」と言う石田社長

 「鉛筆なめなめの人事評価制度では、限界がある」。2009年、注文住宅メーカー、アルプスピアホーム(長野県松本市、以下アルプス)の石田正也社長(当時は専務)は会社の現状について、こう危機感を募らせていた。

 理由は給与の仕組みが不公平だったからだ。中途入社の社員には、前職での年収を下回らないように給与が高く支払われているケースが多かった。その結果、生え抜きの優秀な社員のほうが頑張っているにもかかわらず、年収が低いといった現象が散見された。この逆転現象に気づいた生え抜き社員から不満が出始めたのだ。

続きを読む 2/4 賃金テーブルを公開

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