社員に情報を隠す会社と、社員に情報を出す会社。一昔前ならどちらも成立したが、今や「ガラス張り経営」は必須だ。ただし、導入したものの、途中で挫折する会社も実は多い。ガラス張り経営の導入後に起きる混乱を整理し、それを未然に防ぐ方法、対処する方法を事例で考える。

(写真/PIXTA)
(写真/PIXTA)
<特集全体の目次>
・GMO 熊谷正寿氏「給与の公開直後は大混乱も、今の私にはストレスがない」
・未来志向の会社は情報を公開し、過去にこだわる会社は情報を隠す
・情報をオープンにしたら多額の交際費がばれる?
・他部門の数字に関心を持たない社員の意識をどう変える?
・経営数値を共有するのは無意味?
・中途社員との賃金格差を表沙汰にしたくない


業績部分を空欄にし、社員自らに手書きさせる
ネクステージ(補正下着の通信販売など)

ガラス張りにしても、社員が自部門の数字にしか関心を持たないようでは、社長と社員の情報格差をなくす、という目的は達成されない。セクショナリズムに陥らないために何をすればいいのか。

 数字をガラス張りにして社員から不満が出るのも困るが、数字に全く関心を持ってくれないことは、もっと困る。自部門の数字以外には無関心を貫く社員をどうすれば変えられるか。ここで紹介するのは、そんな事例である。

 「数字を開示しているのに、グループ経営の弊害が目立つようになった」。ネクステージ(東京・新宿)の丹野直人社長は2017年頃の状況について、こう述べる。

 ネクステージでは、補整下着の通信販売やインターネット広告業、フィットネスジムの運営などを手がける。グループ経営のため、事業ごとに会社が異なる。

 グループ間の取引は甘えが出て、企業が弱体化しかねないので原則として禁じるほど独立採算性を重視する。そのため、どうしても社員が自社のことしか考えなくなりがちだ。

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