(写真:写真AC)

 「社長! それやめませんか?」

 私は長年、税理士として多くの経営者と密接に関わってきましたが、こう言いたくなるシーンは本当にたくさんありました(実際に言ったことも何度も……)。

 しかし、後から考えると「やめてもらいたい」のではなく、「やるならやり方を変えて臨んでほしい」と気づくことが多いのです。

 それらのほとんどが取引先などの対外的なことではなく、役員、株主、従業員、親族などに関するものでした。相手が人間であるために、良かれと思ってしたことが逆効果、もしくは思いも寄らぬ方向へと進んでしまっているケースが多く、結果的に社長自身が孤独感に悩まされていました。

 ほとんどのオーナー会社では、社長にモノを言う存在はあまりいません。そんな中で税理士は、社長と従業員、役員、株主との間に立って客観的にアドバイスすることが少なくないのです。

 ここでは、そんな今までの私の税理士経験の中から特に問題意識を持ってもらいたいケースを4つ紹介します。

 前編となる今回は、2つのケースを紹介します。1話目は「従業員に自社株を待たせる」。従業員の退職、つまり出口戦略を見据えていない場合、どういう結果になるのか解説します。2話の「遺言は死ぬ直前に書こうと思っている」では、遺言の準備なく社長が急死した場合にどんな事態が待ち受けているのか、遺言の重要性を考えます。

 では、最初のケースからさっそく見ていきましょう。

内藤 克(ないとう・かつみ)
税理士法人アーク&パートナーズ代表・税理士
オーナー企業の事業承継・相続対策が中心のコンサルティングを司法書士、社会保険労務士とともにワンストップで手がける。著書『残念な相続』(日経BP/日本経済新聞出版)は4万部を超えるベストセラーに
続きを読む 2/5 株主の権利を侮らない

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