経営者として追いかけている指標はあるだろうか。優れた業績を長年維持している経営者は独自の指標を持つ。指標を選ぶ過程には、経営者の決意と個性が表れる。3人の経営者に自身が大事にする指標と選び方について、細かなところまで語ってもらった。

・ジャパネットホールディングス 髙田旭人 社長 兼CEO
・石坂産業 石坂典子 代表
・三島食品 三島豊 会長(今回)


 三島食品 三島豊 会長 
指標の色分けで状態を即座に把握

ふりかけ「ゆかり」で知られる三島食品(広島市)の各部署の壁にはグラフが並ぶ。そして、目標達成の進捗度に応じて、3色に塗り分けられている。細かな数字の確認や分析ではなく、「部署の状態」を指標とする独自の手法だ。

私は部署の調子が分かり、
現場も自然と数字を
意識するようになる

<span class="fontBold">三島 豊(みしま・ゆたか)</span><br />1954年広島県生まれ。東京大学大学院金属材料専門課程を修了後、京都セラミック(現:京セラ)を経て三島食品に入社。関東工場長などを経験したのち92年に社長に就任。2017年に会長に就任</span>(写真/橋本正弘)
三島 豊(みしま・ゆたか)
1954年広島県生まれ。東京大学大学院金属材料専門課程を修了後、京都セラミック(現:京セラ)を経て三島食品に入社。関東工場長などを経験したのち92年に社長に就任。2017年に会長に就任(写真/橋本正弘)

三島会長はどのような経営指標を定点観測していますか。

三島:実は、細かな数字の定点観測はしていません。もちろん会社全体の売上高や利益から始まり、一通りの財務状態は把握していますが、それが目標に届いていないからといって個別の部署の数字を細かく分析したり指示したりはしないという意味です。そこは、社長を任せている末貞操(すえさだみさお)と役割分担をしています。

 その代わりに、各部署や支社の壁を使って、一般的には「見える化ボード」や「目で見る管理板」といわれるものを改良して設置しています。ボードを見れば、細かな数字を確認せずとも、部署の状態が分かります。この「各部署の状態」が、私にとっての把握すべき指標です。その資料がどんな数字なのかは重要ではありません。

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