経営者として追いかけている指標はあるだろうか。優れた業績を長年維持している経営者は独自の指標を持つ。指標を選ぶ過程には、経営者の決意と個性が表れる。3人の経営者に自身が大事にする指標と選び方について、細かなところまで語ってもらった。

・ジャパネットホールディングス 髙田旭人 社長 兼CEO(今回)
・石坂産業 石坂典子 代表(2月8日公開)
・三島食品 三島豊 会長(2月9日公開)


 ジャパネットホールディングス 髙田旭人 社長 兼CEO 
直感で必要な数字を見つけて追う

ジャパネットホールディングスは通信販売のほか、サッカーやバスケットボールのクラブも運営する。多様な事業の動向を適切につかむには数字の把握が欠かせない。髙田旭人社長は、「いらない数字」を切ることが第一歩だと指摘する。

 会社の状況で見るべき数字は変わる。
 正解はないから難しく考えないほうがいい

<span class="fontBold">髙田 旭人(たかた・あきと)</span><br />1979年長崎県生まれ。東京大学卒業。大手証券会社を経て、2004年、父・髙田明氏が経営するジャパネットたかたの社長室長に着任。12年7月から副社長。15年1月、ジャパネットホールディングス社長に就任。18年からCEOを兼務</span>(写真/鈴木愛子)
髙田 旭人(たかた・あきと)
1979年長崎県生まれ。東京大学卒業。大手証券会社を経て、2004年、父・髙田明氏が経営するジャパネットたかたの社長室長に着任。12年7月から副社長。15年1月、ジャパネットホールディングス社長に就任。18年からCEOを兼務(写真/鈴木愛子)

髙田社長は数字に強い経営者として知られています。実際にどのような数字を意識して経営をしているのでしょうか。

髙田:僕のところには毎月、P/L(損益計算書)、B/S(貸借対照表)、キャッシュフロー計算書が送られてくるようにしています。それに加えて財務諸表ベースで気になる指標をいくつか事前に設定して確認しています。経営のテキストには経常利益率をはじめ「〇〇率」といった数字が大量に並んでいますが、自分で必要だと感じたものだけを追いかけます。

 財務関連だと、一番大事にしているのはEBITDA(イービットディーエー、税引前利益に支払利息、減価償却費を加えたもの)です。B/SかP/Lかという話では、僕はP/Lのほうを重視しています。これには理由があります。

 当社が財務上は比較的余裕があり、例えば棚卸資産が膨らんでも、それが経営危機に直結することがないからです。同じ理由でキャッシュフロー計算書も今は重視していません。