生産性は、能力 × 時間 × パフォーマンス(やる気、仕事の前向き度)で表すことができると、『サイエンスドリブン』の著者、梅本哲氏は言う。能力はおいそれと上がらず、今は長時間労働も難しい。ならば、生産性を向上するにはパフォーマンスを高めるのが近道。精神論ではなく、科学的根拠に基づいて、パフォーマンスを「見える化」し、人材を適切に配置する。そのための効果的ツールを活用事例とともに紹介する。
パフォーマンスを向上させるには、今のコンディションを正しく把握する必要がある。そこで役立つのが、ストレスや心の状態を客観的に測定するツールだ。
組織や社員のコンディションを見える化するサーベイツールは年々進化している。そのきっかけになったのは、2015年12月から常時50人以上の従業員がいる事業者に義務づけられた「ストレスチェック」だ。厚生労働省は「職業性ストレス簡易調査票」(57項目)を提供しているが、ただこれについては課題も少なくない。
まず、わずか年1回程度の定性的な調査によるデータだけでは、従業員の日々の変化を正確に把握することは難しい。
次に、「回答が人事評価に影響するかもしれない」と考え、従業員が正直に答えないケースがある。回答した場合でも、自分自身の認識がずれていることがある。本人がストレスを過小評価したり、自覚していなかったりすると、正しい結果は得られない。ストレスチェックは自己記述式のアンケートのため、どうしても主観に左右される。
主観と客観のギャップを正す
主観と客観のギャップをどう正すか。この課題をクリアしようと、記入者本人の意思が入りにくいものや、睡眠時間を聞くなどできるだけ定量的な情報を得ようとするツールが新たに登場した。
最近は、さらにうそやごまかしの利かない生体情報を活用して客観評価を高める仕組みもある。

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