人材育成に唯一の正解はなく、手間がかかり、成果が見えにくい。従業員を育てることは大事と分かっていても後回しにしがちなのはこうした事情があるからだ。だからこそ、仕組みをつくり上げられれば競合優位性につながる。3社の異なる事例から、自社に合うものを見つけてまねをするところから始めてみてはどうだろうか。

<特集全体の目次>
・多能工人材の育て方 失敗の連続から社員は学ぶ
・OJTでは成長に限界 社員160人のゼネコンが作った社内大学
・業務に無関係な資格でいい、多様なスキルの掛け算で唯一無二人材に
CASE.3鍋屋バイテック会社(岐阜県・機械部品の製造)
業務に無関係な資格にも手当
機械部品メーカーの鍋屋バイテック会社は200種類以上の資格に手当を出す。業務と直接関連しないものが多く、パートにも社員と同じ条件で支給。経営者の想定を超える「掛け算」や、勉強する習慣の醸成につなげる。
鍋屋バイテック会社(登記名は鍋屋バイテック)は岐阜県関市に本拠を構える1560年創業の機械部品メーカー。もともとは鍋や鐘などの鋳物を製造していた。そこから派生して機械に組み込むカップリングや特殊ねじなどを製造する。年商は2021年12月期で124億円。10年間で1.7倍に成長している。
年間休日は製造業でありながら129日。平均残業時間は月19時間という労働環境を誇る。学生からの人気も高く、人材の定着率も良好で、大卒・院卒新人の離職は直近5年間で22人中1人のみだ。
鍋屋バイテックの成長と労働環境を支えている仕組みの1つが「マイスター制度」。導入して既に20年以上経過している。内容は、「会社が指定した資格を取得すると毎月手当を出す」というシンプルなものだ。日経トップリーダー1月号の特集で紹介したさくら住宅のように、自社や自身の業務に直接的に役立つ資格に手当を出す会社は多く、これだけ読むと普通の取り組みに見える。しかし、鍋屋バイテックのマイスター制度は、一般的な資格手当とは一線を画す。
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