RIZAPグループが大赤字を計上し、失速して約1年。徹底した構造改革で復活の足がかりをつかみ始めた。リストラだけではなく、独自の事業づくりが進む。しかし、難題はまだ多い。

(写真:清水真帆呂)

 「○○ちゃーん」。歓声がわき起こるステージに、女子アイドルグループが飛び出した。

 昨年12月8日、東京・池袋の高層ビル、サンシャインシティ1階のステージ。高校生から50代とおぼしきおじさんまで、約1200人が取り囲んだ舞台で「天晴れ!原宿」「Chase×Chase」といったアイドルたちが歌って踊ると一曲ごとに、地鳴りのようなかけ声と熱気であふれかえった。

 実はこれ、「結果にコミット」の広告で知られるフィットネスジム大手、RIZAPグループの傘下企業が開いたライブだった。

 RIZAPグループはトレーナーが1対1で顧客を指導し、ダイエットの成果を高い確率で上げていく独自の方法でジムを拡大。多数の企業のM&A(合併・買収)も並行して実施し、急成長した。

 10年3月期に100億円に満たなかった売上高が、18年3月期は1220億円に急伸。30代だった創業者、瀬戸健社長は「若きカリスマ経営者」ともてはやされた。

黒字回復でもう一度成長を目指す

 ところが、翌19年3月期に突然、約194億円の最終赤字に落ち込み、一転して急失速(上グラフ参照)。瀬戸社長への期待は不信と冷たい批判に替わり、同社の将来を危ぶむ声すら出た。

 だが、瀬戸社長はそれ以後、どん底からの出直しに一歩一歩動き始めていた。実はアイドルのライブはその一策である。では、アイドルの一体何が再生につながるのか。一言で言えば「自社の強みをつくり直す」ことだ。

 ライブを開いたのはRIZAPグループの子会社で、北関東中心にDVDレンタル店などを展開するワンダーコーポレーション傘下のCD店チェーン、新星堂。

 RIZAPグループがワンダーを買収したのは18年3月。ワンダーは直前の18年2月期(翌年から3月期に変更)こそ約731億円の売上高で4億8100万円の営業黒字だったが、その前2期は赤字で業績は停滞していた。

 背景には環境変化があった。ここ数年、映像コンテンツはネットで観ることができるようになり、CDやDVDのレンタル・販売事業は総じてじり貧になっている。ワンダー本体の店舗や、13年2月に子会社化した新星堂も、その波に襲われてきたのだ。

 新星堂の店舗は12年には全国で176店あったが、昨年は89店に大幅減。しかも、ワンダーの場合は「地盤とする北関東エリアなどに大型のショッピングセンターが増え、休日を楽しむ家族客などがそちらに流れたことも影響した」(内藤雅義・ワンダーコーポレーション社長)という。

続きを読む 2/4 厚みのある価値を徹底的につくる

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り3928文字 / 全文3970文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

オリジナル動画が見放題、ウェビナー参加し放題

日経ビジネス最新号、9年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「日経トップリーダー」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。