「ストラスブルゴ」で知られる、高級紳士服・婦人服ショップを富裕層に浸透させたアパレル会社。しかし、東京・銀座や六本木の路面店など家賃の高い場所への出店を続けて利益率が低迷。コロナ禍の休業による売り上げ減でスポンサーへの支援を要請し、民事再生を申し立てた。

高級服飾雑貨の輸入卸、高級セレクトショップ「ストラスブルゴ」などの小売りを手がけるリデア(東京・港、登記上は大阪市)は2020年11月17日、東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請した。負債総額は46億円に上った(東京商工リサーチ調べ)。
同日、アパレル大手のワールド傘下にあるファンド運用会社、W&Dインベストメントデザイン(東京・港)と衣料品商社の八木通商(大阪市)がスポンサーとなり、リデアの事業を新会社で譲り受けて再生を図ることが発表された。
欧州の仕入れを拡大
リデアは1990年の設立。グッチやエルメスを日本に紹介したことで知られたブランド衣料輸入会社、サンモトヤマで働いていた創業者の故・田島淳滋氏と現社長である石原秀樹氏が、前職の経験を生かし、大阪・心斎橋に「ストラスブルゴ」の1号店を出したのが始まりだ。
田島氏は創業経営者らしい情熱的な人として知られた。「服飾のものづくりに強いこだわりを持つ真っすぐな人」という評が多い。
欧州に仕入れに行くたび、美術館を訪れるなど、文化芸術にも関心が高かった。こうした感性がイタリアの職人気質の経営者と波長が合ったのだろう。「クラシコ・イタリア」と呼ばれる上質な服を手がける企業の中から、高級スーツの「キートン」、高級ニットの「クルチアーニ」、高級ブランドスーツなどの製造を手がけた「ラルディーニ」といった仕入れ先を次々に開拓してきた。


1着数十万円のスーツやニット製品を品ぞろえし、「イタリア製のいい服を買うならストラスブルゴ」というイメージを日本の富裕層に浸透させた。「イタリアのブランドで店を出して売るのではなく、日本人が独自ブランドでセレクトショップをつくって、欧州の高級な服を売るという業態を日本で確立したことは、リデアの功績だ」と、ある取引先は振り返る。
リデアはイタリアで仕入れた商品を自社で小売りするだけでなく、百貨店や大手セレクトショップにも卸して業容を拡大。90年代半ばまで3億円に満たなかった売上高を2011年1月期には29億円にまで伸ばした。
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