「古田土式・経営計画書」を武器に、多くの中小企業を顧客に抱える古田土会計の代表、古田圡満氏が、中小企業の社長が知っておくべき財務・経営の考え方を分かりやすく指南する連載。今回はコロナ融資で膨らんだ現預金を除き、自社の正味の「資金力」を把握する重要性です。コロナ融資をうまく利用できた会社ほど自社の資金力を正確に知る必要があります。

(イラスト/高田真弓)

 コロナ融資でいったん資金の余裕ができたものの再度の緊急事態宣言で、また心配な状況になってきました。何らかの手を打つべきですが、それには自社の資金力を正確に知ることが絶対的に必要です。というのも、これまでコロナ融資をうまく利用した会社ほど自社の資金力を貸借対照表(B/S)で把握しにくくなっているからです。

 分かりやすい例として次のような会社を考えます。融資を受ける前の総資産は3億円、現預金1億円、借入金は1億8000万円で純資産は1億円です。

 この会社が、据え置き期間5年で1億円を借り入れ、現預金を2億円に増やしたとしましょう。総資産は4億円で借入金は2億8000万円となります。自己資本比率は中小企業で及第点の目標になる33%から25%に下がってしまいますが、総資産に対する現預金比率は及第点とされる33%を大幅に上回る50%。A社のB/Sはいわば水膨れ状態になっているわけです。

 まさかコロナ融資で余裕ができたからと無駄な有価証券や土地・建物を購入する社長がいるとは思いませんが、豊富な資金があることで、経営判断を誤る恐れがあります。

 冷静に借り入れ前後のB/Sを比較し、水膨れを除いた自社の真の資金力を把握しなくてはいけません。

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