沼田昭二(ぬまた・しょうじ)
神戸物産創業者、町おこしエネルギー会長兼社長。1954年兵庫県生まれ、兵庫県立高砂高校卒業後、三越に入社。81年食品スーパー創業。フランチャイズ方式で「業務スーパー」を全国展開し、外食事業や全国に20を超える食品工場も運営。2012年社長職を息子の沼田博和氏に引き継いで退任。16年町おこしエネルギー(兵庫県加古川市)を創業し、地熱発電事業などに取り組む(写真:松田弘)

 現在、お客様の支持をいただいている食品小売店「業務スーパー」は、私が21年前にフランチャイズ(FC)方式で始めた店です。展開する神戸物産は直近で売上高3400億円、営業利益240億円規模に成長しました。ここまで大きくなったのは、利益を小手先のやり方で出そうとしなかったから。この連載では、私が大事にしてきた考え方をお話ししようと思います。

 業務スーパーFC1号店がオープンしたのは2000年3月。既にその時点で、世の経営者は少子高齢化が進み、人口が減り続ける未来を認識していました。食品流通の世界は「売り上げや利益の源泉はバイイングパワー」という考えが当たり前で、新参者の業務スーパーが入り込む隙間はないように見えました。

 そうした過酷な競争を勝ち抜き、10年後、20年後も利益がきちんと出続けるようにするには、経営の根幹から見直す必要があるのではないかと私は思いました。経営の基礎を改めて1つずつ考え、押さえていくわけですから時間がかかり、しんどい。しかし、そのルールを明確にして会社全体で守っていこうと決めたのです。

 「利益の出し方はこうあるべき」と自分なりにまとめたものは、現在経営している会社でも神戸物産時代も、従業員の目に触れるところに張り出しています。見てすぐに腹落ちするかどうかは分かりませんが、ミスしたときに「この部分をもっと重視する必要があった」と気づいてほしいと考えたからです。

「大体」という言葉は失敗の素

 利益の出し方のベースとして、すべてのことは可能な限り数字で明確に表す必要があります。社内外の多くの人と仕事をスムーズに進めるには、数字を基にしないと適切で公平なジャッジはできません。

 となると、経営者と従業員、あるいは従業員同士などのコミュニケーションにおいても数字はとても重要です。例えば、相手に対する報告では「近いうちに」とか「大体」といった言葉は避ける。「10日までに」などと必ず具体的に示す必要があります。「近いうちに」と聞いて、こちらは「せいぜい1週間程度だろう」と思っていたら、相手は数カ月先のことを指していて、時間やビジネスチャンスを無駄にした失敗がたくさんあります。

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