部下に仕事を任せられないのは、リーダーが有能で部下が無能だからではなく、リーダーが部下に仕事を任せたくないから。なぜ任せたくないのか。『嫌われる勇気』の著者で、哲学者の岸見一郎氏がその理由を説きます。

 本当に有能なリーダーはただ有能であり、そのことを他者に誇示しようとはしませんが、リーダーが優越感を持っていると、部下が劣等感を持ち依存的になることがあります。自分がやった方が速く、その上、よい結果を出せると考えて部下に任せない剛腕タイプのリーダーにこのような人が多いように見えます。

 問題は、優越感は劣等感の裏返しであることです。自分がした方がよい結果を出せると思うのはリーダーの思い込みでしかありません。部下に仕事を任せられないのは、リーダーが有能で部下が無能だからではありません。ただリーダーが部下に仕事を任せたくないからです。

 なぜ任せたくないのか。部下に任せて部下が失敗すればリーダーは叱責するでしょうが、その時は優越感を持てます。しかし、部下が自分よりもいい結果を出すことは許せません。部下がいい結果を出せたとすれば、自分が適切に指導したからだとは考えることができず、自分が部下よりも劣っているのではないかと考えてしまうからです。

 このようなリーダーはよくいえば孤高で部下からどう思われるかを気にかけませんが、部下を信頼できず部下に仕事を任せられないのであれば、チームで働く意味はありませんし、リーダーは必要ではないのです。

 他方、たしかに有能なのですが、自分が有能であることを部下に認められたいリーダーがいます。

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