採用余力がある中小企業にとって、今は人材の質と量を高める絶好の機会だ。しかし、言語化できない選別眼や直感に頼る採用手法は運を天に任せるようなもの。本特集では試験方法や情報開示の内容など、再現性の高い採用戦略を紹介する。

(写真/PIXTA)

<特集全体の目次>
●採用面接慣れしている学生に出し抜かれないためには?
●「粘り強く相手を説得できる」人材を見抜く採用手法とは?
●お手製の難問で、高度な数学力を持つ人材を選抜する理由
●営業先は保育園。子供への共感力や想像力を見極める面接とは
●部門利益から懇親会の頻度まで面接前に開示、8年間内定辞退ゼロ
●1次面接から社長と1対1で90分、社風を伝えて採用のミスマッチ防ぐ
●ネッツトヨタ南国 横田英毅相談役「逆境に立ち向かう力は人だけが持つ」



採用に真剣な中小企業のアプローチは2つに大別される

 2021年3月に大学卒業を予定する学生の就職内定率は82.2%(12月1日時点、前年比4.9ポイント減)、20年11月の有効求人倍率は1.06倍(前年比0.51ポイント減)と、新卒・中途ともに、採用の状況は大きく変わっている。採用する余力がある企業にとっては、今は数年ぶりの好機だ。

 中小企業が持つ、採用活動における問題意識は、次のようなものだろう。第一に、中小企業は知名度、待遇、家族への印象といった多くの面で大企業に及ばない。

 第二に、新卒・中途ともに就職支援サービスの充実により、試験や面接に慣れた求職者が増えたため、従来通りの面接や試験では、その人の性格や人間性が見抜きにくくなっている。

 そして第三に、学歴や資格などのスキル面よりも、会社の価値観や企業風土とマッチするかのほうが、入社後の伸びしろや離職率に影響すると考えている。

 このような問題意識を前提に、「採用巧者」の会社は、知恵の限りを尽くし、手を打っている。今回は、各社の知恵を分かりやすく伝えるために、2つに分類して各社の取り組みを紹介していく。

 1つは、学生の本質をいかに見抜くかを突き詰めていく方向性だ。ここでは「本質解明型」とする。もう1つは、給与や休日数、残業時間などの待遇から、会社独自のルールや価値観、在職者の人柄まで情報開示を徹底し、自社に対する理解を深めてもらうもの。これを「自己開示型」とした。

 基本的に、求職者の本質を探っていく、本質解明型のほうが導入の難易度は高い。面接などを通じて試行錯誤を繰り返し、その結果を踏まえて長い期間をかけて改善する必要があるからだ。

 自己開示型は自社の情報を開示するだけなので導入はしやすい。しかし、「どこまで社内の様子や経営情報を見せるべきか」という経営者自身の葛藤や、「会社見学や社員面談などで、会社全体の業務負荷が増す」といった問題を乗り越える難しさはある。

 本質解明型、自己開示型それぞれの具体例に触れ、何か1つだけでも自社へのヒントをつかんで、今期の採用活動に反映してほしい。早速、次ページから本質解明型の事例を見ていこう。



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