粉飾に走って破滅した経営者を今後も対岸の火事と済ませられるだろうか。昨年、中小企業を苦しめた新型コロナウイルスが、再び威力を増している。長期戦が予想され、魔が差してもおかしくない。粉飾は、会社の息の根を確実に止める。良かれと思った苦渋の決断が、最悪の結果を招くのだ。実際に手を染めた経営者たちの肉声から、その恐ろしさを感じ取ってほしい。

(写真:PIXTA)

<特集全体の目次>
・粉飾経験者の独白(1)「在庫を操作した罪悪感が、頭にこびりついて離れない」
・コロナ、地銀再編、高齢化……これから一気に高まる粉飾決算リスク
・粉飾経験者の独白(2)「しなければよかった、とは今でも思わない」
・粉飾決算、実は銀行は知っている?
・粉飾経験者の独白(3)「そそのかしてきた金融機関。私は大義のために手を汚した」
・会社を守る最後の手段は、本当に粉飾経営ですか?


 粉飾決算に手を染めた経営者の告白、金融機関や税理士の思惑。前回まで読んで、さまざまな思いが浮かんだのではないだろうか。今回は粉飾経営は会社存続のための必要悪になり得るのかを考える。

 本特集では、決算の粉飾が抱える法的リスクについては言及しない。読者の多くは「法律を守ることは大事だが、わが子同然の会社を存続させることはもっと大事」と考えているはずだ。

 経営者と間近で接している関係者の多くも、「会社や従業員、取引先を守るため、経営者はやむを得ずに粉飾決算に手を染めている」と一定の理解を示す。

 創業以降、あるいは経営者の立場になって以降、日々、資金繰りや環境変化への対応に神経をすり減らしながら経営してきた会社を絶対に守る──。その一心から決算を粉飾して、窮地を乗り切りたくなる気持ちはよく分かる。

 しかし皮肉なことに、粉飾経営は一番避けたい「最悪の結末」への最短ルートでしかない。

自分にだまされる

 粉飾決算に手を染めた経営者の末路を見てきた関係者の証言はリアルで厳しい。

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