粉飾に走って破滅した経営者を今後も対岸の火事と済ませられるだろうか。昨年、中小企業を苦しめた新型コロナウイルスが、再び威力を増している。長期戦が予想され、魔が差してもおかしくない。粉飾は、会社の息の根を確実に止める。良かれと思った苦渋の決断が、最悪の結果を招くのだ。実際に手を染めた経営者たちの肉声から、その恐ろしさを感じ取ってほしい。

(写真:PIXTA)

<特集全体の目次>
・粉飾経験者の独白(1)「在庫を操作した罪悪感が、頭にこびりついて離れない」
・コロナ、地銀再編、高齢化……これから一気に高まる粉飾決算リスク
・粉飾経験者の独白(2)「しなければよかった、とは今でも思わない」
・粉飾決算、実は銀行は知っている?
・粉飾経験者の独白(3)「そそのかしてきた金融機関。私は大義のために喜んで手を汚した」
・会社を守る最後の手段は本当に粉飾経営ですか?


 決算を粉飾する誘惑に駆られても、実際に一線を越えるかどうかは経営者次第だ。本特集では、一歩足を踏み入れた経営者3人の胸の内をのぞく。まず1人目は、婦人アパレル小売業に長く携わった40代の告白。

1回やり過ぎると、なかったことにはできない

 粉飾決算を「実態とは違う数字を計上する」と定義すると、私は大きく分けて2種類の粉飾をしたことになります。

 最初の粉飾は経費の後ろ倒しです。当時は粉飾と思っていませんでしたから、後ろめたさを感じませんでした。

 粉飾に手を出すまでは利益がそれなりに出る婦人アパレル小売業の会社でしたが、ある年に起きた為替変動の影響が当社を直撃しました。営業利益は黒字ぎりぎりで着地できそうだったものの、前期と比べて落ち込みがひどかった。

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