稲盛和夫氏の経営哲学を学ぶ「盛和塾」が中国で大人気だ。今やその会員数は1万4000人に上る。日本では2019年、高齢を理由に稲盛氏が塾を閉めたが、中国ではその後も会員数を拡大。稲盛氏を筆頭に日本の経営思想は、なぜ海外で受け入れられるのか。それを探るため、中国・盛和塾で学ぶ3人の経営者にオンラインで座談会を実施した。

(司会は日経トップリーダー連載でおなじみの王沁・NGA社長。構成は日経トップリーダー編集長・北方雅人)
王 まず自己紹介をしてください。
趙 南京の趙偉と申します。若い女性向けの衣料を販売しています。ブランド名は「本渋」、英語表記は「Beautiful Spirit is Ever Exploring」、美は常に探索するという意味です。従業員は約2000人、直営店中心に約300店をショッピングモールなどに展開しています。長江流域を主とし、江蘇省、安徽省、浙江省など11の省・市をカバーしています。

2005年に「BSIEE本渋」ブランドを立ち上げ、若い女性向けのアパレル事業をスタート。11年に会社設立し、現在は中国全土に約300店を展開するまでに成長した。40歳
陳 陳淑林と申します。淑女の淑、森林の林、「淑女は森林にいる」と覚えてください(笑)。私の事業には2つのブランドがあります。1つは「妙妙楽」。1〜7歳の子供向けの室内エンターテインメントです。もう1つは「APエンターテインメントファクトリー」で、3歳から60歳までを対象にした健康スポーツ・娯楽サービスです。
敷地面積は1500~3000m2で、APでは、会社のチームビルディングも若者のパーティーも可能です。楽しみながら子供にチームビルディングの価値観を教えるのが特徴です。ショッピングモール内に出店しています。

温州市で、約10年前に子供向け室内娯楽施設「妙妙楽」を開店。その後、大人も楽しめる「APエンターテインメントファクトリー」ブランドの施設も展開。温州盛和塾副理事長も務める。40歳
黄 こんにちは、黄健です。私の店舗の半分もショッピングモールの中です。私は飲食業を営んでいます。瀋陽と上海などに20店余りの日本食の店を出しています。カニ、ウニ、和牛、カキ、豆腐などを扱う店があります。従業員は約600人です。私たちは文化面のブレークスルーとイノベーションを進めていて、日本と唐の文化を融合させたり、唐朝の文化を追憶してもらったりすることを、いくつかの店でテストしています。

2010年瀋陽市でレストランを創業。懐石料理やすし、京料理などの日本料理店を多地域で店舗展開している。39歳
王 では、ここから本題です。経営者としての経緯を、稲盛和夫さんに接したきっかけと併せて話していただけますか。

株式会社NGAのCEO。2010年来日、慶応義塾大学卒業後、海外向けコンテンツを手がける「JCCD.com」やAIプラットフォーム「AiBank.jp」を運営しながら、リクルートホールディングスに入社。21年退社し、NGA創立。「着眼大局、着手小局」を日経トップリーダーに執筆中
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