新型コロナの緊急事態宣言下の期間が長かった2021年。企業の経営破綻はどのような要因が多かったのか。「破綻の真相」担当記者が、21年の動向と今後の見通しを話す。

■ 座談会の参加者
上岡 隆(副編集長)/ 神農将司(記者)/ 秋山知子(編集委員)
倒産件数は歴史的な低水準
倒産件数と負債総額の推移(東京商工リサーチの調査)
<span class="fontSizeL">倒産件数は歴史的な低水準</span><br />倒産件数と負債総額の推移(東京商工リサーチの調査)
注:2021年は1~11月の数字
[画像のクリックで拡大表示]
22年の倒産件数はゆるやかな増勢に転じる

 2020年に続き、コロナ禍によって企業活動が大幅な制約や影響を受けた21年も、倒産件数は歴史的な低水準で推移した。

 東京商工リサーチの調査では21年11月末までの倒産件数(負債額1000万円以上)は5526件。1年間でも恐らく6000件強と20年をさらに下回り、「50年来の低水準になる見通し」(東京商工リサーチ情報本部情報部の坂田芳博課長)。

 20年から継続した民間金融機関による無利子無担保融資(ゼロゼロ融資)など、コロナ関連の金融支援政策が下支えしたためだ。しかし、本来なら借りられない企業まで借りることができたため過剰債務の懸念も増大している。コロナ収束後の事業再開で、運転資金の調達に窮する企業も出そうだ。

 長期的に続く資源高や人手不足、円安といった懸念要素もある。「金融支援策がなくなる22年は、増減を繰り返しながらも倒産件数はゆるやかな増勢に転じると見る。資金需要の逼迫による黒字倒産や、逆にコロナ前の売り上げが戻らないまま『あきらめ倒産』というケースが増えるのでは」(坂田課長)。

秋山:2021年はコロナ関連の金融支援政策によって、倒産件数は歴史的と言える低い水準だった。「コロナ倒産」と分類される例も少なくはないが、本誌で取り上げた破綻事例ではむしろそれ以外の要因が大きいと感じる。

 21年に取材した事例を振り返ってみて、何が印象に残っているだろうか。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り3664文字 / 全文4405文字

【春割/2カ月無料】お申し込みで

人気コラム、特集記事…すべて読み放題

ウェビナー・音声コンテンツを視聴可能

バックナンバー11年分が読み放題

この記事はシリーズ「日経トップリーダー」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。