経営者を取材していると、しばしば強烈な信仰心に遭遇する。得度した京セラ創業者の稲盛和夫氏のように、仏教やキリスト教などの宗教に帰依する人もいるが、どちらかというと独自の信仰対象を持っていることが多い。
私欲だけでは従業員をまとめ上げることはできない。もっといい会社をつくりたい、経営者としてもっと成長したいというストイックな側面を強めた経営者が、自らを省みる信仰対象を持つことは自然だ。本当の悩みは幹部にもなかなか吐露できないので、心の支えも必要だろう。
時代の転換点を迎え、経営者には今後、難しい判断が求められる局面が続く。そんなときには、祈ってみてはどうだろう。決して冗談で言っているのではないことは、本特集で紹介する経営者たちの「信仰の現場」を見ればお分かりいただけるはずだ。

●松下幸之助を支えた信仰「宇宙根源の力」
●フォーバル大久保会長、太陽と月に毎日祈って30年
●毎朝、水風呂で『大断言』を唱える経営者
●ラッキーピエログループ・王会長「3つの神に信念を誓う」
アクト・伊藤社長「通勤中に車内で詩を発話」
アサヒ・ドリーム・クリエイト 橋本社長「毎月欠かさず、往復7時間の墓参り」
●「初辰まいり」で毎月、業績報告
●1日3回、元禄時代からの先祖の名を読み上げる
●築地本願寺の改革を先導した、安永宗務長の経営者観
社会のために生きているか? 先祖に常に見られている
医療用機材に取りつける耐熱・超低温対応のICタグを開発製造する、KRDコーポレーション(神奈川県大和市)の小松弘英社長は両親から遡り、元禄年間(1700年前後)に生きた8代前の先祖まで、約20人の名前を毎日3回、自宅の掛け軸の前で読み上げる。
まず朝起きると正座して「お父さん、お母さん、おはようございます」と挨拶。そこから次々に代々の名を読んだ後、「守護霊様の皆様、守護神様の皆様、龍神様、観世音菩薩様、地蔵菩薩様、天父様、昨日はありがとうございました。今日を迎えられましたことを感謝いたします」と頭を下げる。
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