全5618文字

日経トップリーダーの好評連載「破綻の真相」。中堅・中小企業の倒産の経緯を分析し、経営者はどう判断すべきだったのかをまとめている。今回は、特別編として、東京商工リサーチ友田信男情報本部長へのインタビューと、「破綻の真相」担当記者の座談会により、2019年の倒産動向を振り返り、20年の動向を占う。 

東京商工リサーチはこう見る
倒産増加の兆しが見えた19年。息切れする中小企業が続々

長らく低水準で推移してきた倒産件数に異変が起きた。19年、急激な勢いで増加に転じたのだ。これをどう読み解けばいいか。東京商工リサーチの友田信男氏に聞いた。

まずは2019年の倒産傾向について確認させてください。

友田信男(ともだ・のぶお)
銀行勤務を経て、東京商工リサーチ入社。現在は常務、情報本部長を務める。長年、信用調査に携わってきたプロ中のプロ

友田:19年は倒産が増える兆しを見せた年でした。リーマン・ショックが起きた年の翌09年から19年第2四半期までの倒産件数の増減率を見ると、総じて減少傾向にありました(下のグラフ)。09年11月までは月平均1300件ほどあったものの、翌12月に中小企業の資金繰りを支援する「中小企業金融円滑化法(以下、円滑化法)」が施行されると右肩下がりに。19年は月600件から800件程度で推移していました。

 ところがこの状況は、19年第3四半期に激変します。前年同期比8.1%とプラスに大きく転じたのです。リーマン・ショック直後の増加率13.4%には及ばないものの、看過できません。

2019年は倒産件数が反転急上昇
出所:東京商工リサーチ調べ

プラスに大きく反転した背景をどう分析しますか。

友田:まず挙げられるのが、中小企業自身の息切れでしょう。円滑化法とは、簡単に言えば「銀行は中小企業から借り入れ返済の猶予を求められたら応じなさい」というものです。それまでは返済が1回でも遅れたら、金融機関は担保権を行使したり、預金を差し押さえたりしていました。ところがこの法律により、金融機関はそうした動きが取れなくなった。

 ただ円滑化法施行から10年もたった。結局、業績改善ができなかった会社が音を上げてしまったと見ています。