監督ありきの組織は弱い

個性は変えられないですか。

佐々木:以前、『嫌われる勇気』の著者、岸見一郎さんと対談したことがあります。そのときに(精神科医の)アドラーの心理学を勉強したのですが、相手を認めてリスペクトしなさい、縦ではなく横で見なさい、というアドラーの教えにとても共感しました。

 私は東レ時代、30歳くらいの頃から、年下も年上も「さん」付けで呼ぶようにしたんです。

 私より年下でも、何かしら私を超えるものを持っているし、私より年上でも私のほうが得意なものもある。みんな、いいところを持っているので、互いにリスペクトする組織づくりをしました。すると、人から言われたことをただする人はいなくなり、自らの考えで動くようになりました。

 スポーツのチームづくりも同じでしょう。帝京大学ラクビー部で大学選手権9連覇を果たした岩出雅之監督と対談したとき「社会人なら強い選手をずっと抱えることができますが、大学生は卒業していく。なぜ勝ち続けられるのですか」と尋ねました。岩出監督はこう教えてくれました。

 ラグビーをする目的は勝つためではなく、人として自立し、成長し、チームに貢献することを学ぶため。だから、1年生も4年生も対等であり、互いにリスペクトしなければならない。4年生にも雑用をしてもらい、どうすればチームに貢献できるか、一人一人が考えるチームをつくっている――そう教えてくれました。

 監督がすべてであり、監督の指示で動くチームは、一時的には強さを発揮できるかもしれませんが、長くは続かないのです。

先日、手羽先で有名な「世界の山ちゃん」を展開するエスワイフードの山本久美社長を取材しましたが、同じようなことをおっしゃっていました。教師時代にバスケットボールチームの監督をしていたとき、6年生に下級生の荷物を持たせるようにしたそうです(「夫急逝で専業主婦から転身、『世界の山ちゃん』 社長」参照)。

佐々木:私は家族にもそう接しています。子供が18歳になったときから、私と対等な大人です。娘の旦那も、旦那のお父さん、お母さんも私と対等。

 実はお父さん、お母さんは介護が必要な状態なので、最近、一緒に暮らし始めました。そのほうが安心ですし、経済的ですから。最初「一緒に住みましょう」と持ちかけたら、2人も、娘の旦那も驚いていましたけどね。

人に貢献できると、自分が幸せになるのです
人に貢献できると、自分が幸せになるのです

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