パソコンを手に行脚

<span class="fontBold">野口五郎(のぐち・ごろう)</span><br />1956年岐阜県生まれ。71年に15歳で歌手デビュー。72年、当時の最年少記録で「NHK紅白歌合戦」に初出場。「甘い生活」「私鉄沿線」などのヒット曲で数々の賞を受賞。西城秀樹、郷ひろみとともに“新御三家”と呼ばれ、トップアイドルとして活躍。ギタリストや俳優としても高く評価されているほか、アプリ開発も手がける(写真=鈴木愛子)
野口五郎(のぐち・ごろう)
1956年岐阜県生まれ。71年に15歳で歌手デビュー。72年、当時の最年少記録で「NHK紅白歌合戦」に初出場。「甘い生活」「私鉄沿線」などのヒット曲で数々の賞を受賞。西城秀樹、郷ひろみとともに“新御三家”と呼ばれ、トップアイドルとして活躍。ギタリストや俳優としても高く評価されているほか、アプリ開発も手がける(写真=鈴木愛子)

 自粛期間に入って間もなく開発に着手し、形になったのは20年8月です。それ以後はパソコンと資料を手に国会議員や自治体の首長、医師会の方々などにお目にかかり、テイクアウトライフの導入を訴えました。議員会館に何度足を運んだか分かりません。

 熱心に話を聞いてくださることもあれば、そうでないこともあり、くじけそうになったこともあります。なぜ諦めなかったのか。「僕はこんなに正義感が強かったっけ」と思ったこともあります。

 1つ言えるのは、僕は歌いたい、ということ。そしてコロナ下でお客様に安心して歌を聞いてもらうには、テイクアウトライフが大きな助けになるのです。歌いたいのは僕だけではなく、ほかのアーティストも同じでしょう。自分のためだけでなく、仲間のため、エンターテインメント業界のため、今苦しい状況にある多くの人のために、という気持ちがあったから頑張れたのだと思います。

好奇心は尽きない

「なぜ野口五郎にアプリ開発ができたのか」と不思議に思う人もいるでしょう。僕は10代で自宅にスタジオをつくり、自ら機材を操作してレコーディングしていました。音響に興味があり、当時市販されていなかったエフェクター(音響効果装置)ボードを自作したのが、そもそもの原点かもしれません。

 僕はチャカチャカいろいろと考えるのが好きで、友人から「チャッカマン」と呼ばれています。僕がおそらく「初めて」ということが結構あります。海外レコーディングもディナーショーもそう。ライブのインターネット配信も02年ぐらいに始めています。

<span class="fontBold">岩崎宏美さんと歌う新曲「好きだなんて言えなかった」には、DMV(深層振動)も収録されている</span>
岩崎宏美さんと歌う新曲「好きだなんて言えなかった」には、DMV(深層振動)も収録されている

 ここ数年は名古屋大学の先生などと共同で、深層振動(DMV)の研究に力を注いでいます。人間には可聴域と非可聴域があり、聴こえない低い音が人間の体に良い影響を与えていることが科学的に証明され始めています。僕自身、19年に東京大学で開催されたシンポジウムで講演したり、英国の科学誌で僕たちの研究成果が取り上げられたりしました。

 僕は「この思い、届け!」と思いながらいつも歌っています。例えば、弱いピアニッシモの音を遠くまで届けるにはどうしたらいいかといったことを研究しているうちに、非可聴音にたどり着きました。音楽に対する好奇心はいくつになっても尽きません。

 僕の好きな言葉は「積極的、楽観的、希望的」です。「消極的、悲観的、絶望的」な世界は何も生まない。積極的にまず足を一歩前に進め、楽観的に捉え、未来に希望を持つ。順番も大事です。

 成功したいなら、自分は成功する人間だと思うこと。心の姿勢が大切なのです。優しい人間になりたいなら、毎日優しい人間のふりをすればいい。偽善でも構わない。そのうち「ふり」をしなくても優しい人間になっている、それが人間です。自分は成功する人間だと毎日思い続ける。そうしたらきっと成功します。僕はそう思って50年間、歌い続けてきました。

(この記事は、「日経トップリーダー」2022年1月号の記事を基に構成しました)

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