経営者を取材していると、しばしば強烈な信仰心に遭遇する。得度した京セラ創業者の稲盛和夫氏のように、仏教やキリスト教などの宗教に帰依する人もいるが、どちらかというと独自の信仰対象を持っていることが多い。
私欲だけでは従業員をまとめ上げることはできない。もっといい会社をつくりたい、経営者としてもっと成長したいというストイックな側面を強めた経営者が、自らを省みる信仰対象を持つことは自然だ。本当の悩みは幹部にもなかなか吐露できないので、心の支えも必要だろう。
時代の転換点を迎え、経営者には今後、難しい判断が求められる局面が続く。そんなときには、祈ってみてはどうだろう。決して冗談で言っているのではないことは、本特集で紹介する経営者たちの「信仰の現場」を見ればお分かりいただけるはずだ。

●幸之助を支えた信仰「宇宙根源の力」
●フォーバル大久保会長、太陽と月に毎日祈って30年
●毎朝、水風呂で『大断言』を唱える経営者
●ラッキーピエログループ・王会長「3つの神に信念を誓う」
アクト・伊藤社長「通勤中に車内で詩を発話」
アサヒ・ドリーム・クリエイト・橋本社長「毎月欠かさず、往復7時間の墓参り」
●「初辰まいり」で毎月、業績報告
●1日3回、元禄時代からの先祖の名を読み上げる
●築地本願寺の改革を先導した、安永宗務長の経営者観
脳梗塞になっても
感謝の気持ちを持てた

「4年前、62歳のときに脳梗塞を患い、手足が思うように動かず、声も出ない状態になった。けれども不思議と絶望しなかった。頭は回る。目は見えて、耳も聞こえる。『人の話をしっかり聞いて正しく判断する』という経営者として必須の力は失わなかった。もう、感謝しかない。そう思えたのは、30年近く、毎日欠かさず祈り続けてきたからかもしれない」
うれしそうにこう語るのは、中小企業向けコンサルティング会社フォーバルの大久保秀夫会長だ。いまだ手足にまひが残るものの、そのたたずまいからは、経営者然とする活力を感じる。
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