印僑とのビジネスではインド人同士の交渉ごとには直接入らずに、インド人同士で直接交渉、話をつけてもらうのがコツだという(写真:123RF)
印僑とのビジネスではインド人同士の交渉ごとには直接入らずに、インド人同士で直接交渉、話をつけてもらうのがコツだという(写真:123RF)

 ビジネスを始めてみるとその大変さは華僑とは別物でした。覚悟はしていましたが、彼らの多くはとにかく口達者で彼らの理論・理屈で説明してきます。そして交渉が成功するまで引き下がりません。印僑とのビジネスでは特に、信頼できる総代理店を見つけ、その中からキーパーソンを見つけ、自分たちの方針や戦略を徹底的に理解してもらい、総代理店とは極力もめないように味方につけるのが得策です。総代理店とは向き合う関係ではなく、同じ方向を向く関係になり、彼らにはそこから先の流通や小売店と向き合ってもらうようにして、我々は背中を押しながら支援する。つまり、我々はインド人同士の交渉ごとには入らずに、インド人同士でやってもらうのです。それが最良の方法でした。

 このやり方の大前提は総代理店を信用することです。逆に言うと味方につけられたらこれほど「力強い」パートナーはいないのです。

「本物」の国際情勢と情報に触れている実感

 パートナーとの信頼関係が深まってくるにつれ、印僑ネットワークのすごさを目の当たりにすることになりました。それまでアジア各国の情報だったらいつでも入ってくるようになっていましたし、自分の手で確実につかんでいるという感覚はありましたが、中近東やアフリカのタイムリーで正確な情報は印僑抜きには知り得ないものばかりでした。この政治的に常に不安定な中近東における彼らの情報収集能力と迅速な動きには感服の一言でした。

 中近東で戦争や紛争が勃発すると、まずペルシャ湾や紅海は封鎖され、船舶は監視されるため、コンテナ船の航行量は激減し、船賃は保険料が逆に激増します。そしていざ戦争が始まると、「この戦争はあと1週間で終わる。だからそのまま生産も続けておいてくれ。1週間後に全てまとめて欲しい」と連絡が来きました。するとどうでしょう、本当に1週間でピタッと戦争が終わったのです。彼らはネットワーク間で情報を共有し、いろいろな角度から分析し、正確に先を読んでいました。

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