シンガポールを手本に中継貿易の拠点としての「海のハブ」、次いで航空路の拠点の「空のハブ」として都市づくりを進め、中東のゲートウェイとして確固たる地位を築きあげた(写真:123RF)
シンガポールを手本に中継貿易の拠点としての「海のハブ」、次いで航空路の拠点の「空のハブ」として都市づくりを進め、中東のゲートウェイとして確固たる地位を築きあげた(写真:123RF)

 正直、インドネシアの工場で生産する日本向けの商品は日本で生産するよりもコストが抑えられ、輸出で利益が稼げましたし、インドネシア国内向けでも商品開発と販促と流通政策の成功により、ベストを尽くし、結果を出していると自負していた私にとって「これが世界のコスト感と販売力なのか」と大きな衝撃でした。

 実はドバイは中継貿易のハブであり、総取引量のうち、ドバイ国内での消費は7%にすぎません。残りの93%は、アフリカ、中近東、CIS(独立国家共同体、ソ連崩壊時に、ソビエト社会主義共和国連邦を構成していた15か国のうちバルト三国を除く12か国によって結成されたゆるやかな国家連合体)諸国、東欧へとタグボートで買い付けに来たマーチャントによって世界中に再輸出されていきます。だからこそドバイは化粧品・雑貨の取扱量が世界一なのです。ここで商品が受け入れられたら世界中に広まる、というビッグチャンスを掴むことができる代わりに価格競争も最も激しい都市なのです。

 それにしても、数倍売れている商品と何が違うのか? 世界で売れているわけですから、単純に価格だけではないはずであり、多くの国で認められる品質や価値を保ちつつ、原価を抑えるノウハウを持っているはずです。

 そこで「コストを抑えられるすごくいい処方や包材があるのではないか」と考え、改めて品質と原料・材料を見直し、もっと他に良質で安いものがないのか、代替できるものはないのかを調べたり、調達先も世界中から探し直したりしました。

 生活者が実感しないレベルの品質にこだわってムダなことをしているのかもしれない。数種類入っている原料のうちの一つだけ、1段階グレードを下げても質感は変わらずにコストを下げられるのではないだろうか。包材の素材に無駄はないか。世界中からサンプルを集め試行錯誤し、商品テストを繰り返してみると、これがいろいろ見つかりました。

 例えば、それまでアメリカやドイツから仕入れていた原料とほぼ同じクオリティーのものが中近東に存在していました。また、容器のキャップ一つ、アルミ一つと別の途上国のものでテストをしてみたところ品質が従来のものと変わらないものがあったりしました。

 この結果ドバイ向け商品は、それまでより数%のコストダウンに成功。ギャツビーの品質基準を保ちつつ、考えられる限界までコストダウンを達成しました。10倍売るには、10倍売るための商品開発がある。重要なのはトータルの利益金額であり、率ではありません。絶対的な利益金額が上がることこそが重要なのです。これが世界を相手にするという実感し刺激を受けました。

 コスト面だけではなく、香りなどもアラブ人好みの商品を新たに開発し、表示もペルシャ語、フランス語、アラビア語、英語、ロシア語など数カ国語表示に切り替えました。多国向けの商品が複数出来上がると、順調に市場が開拓され取引も増大していきました。

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