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シェア・ナンバーワン・カテゴリーブランドは11。成功している実感と醍醐味

 総代理店やアゲンとの信頼関係やマインドシェアを上げていくと、次は彼らを守っていくためにも利益の確保と宣伝などの投資が必要になってきます。そこで為替対策が重要になってきます。機械化による品質の安定化、インターナショナルスタンダードなデザインや積極的な商品開発により輸出売り上げを増やしていきましたので、ドル建ての債権を確保し為替を安定させることができ、為替や景気の変動で国内事業が振り回されないようになっていきました。

 他方、輸出売り上げを持ってない競合品メーカーは、ルピアが下がると原価が上がりますから、宣伝を絞ったり、値上げをしたりします。競合が値上げした瞬間に宣伝を打つと、生活者は一気にブランドスイッチを起こし、マーケットシェアが逆転するのです。

 まだまだインドネシアの経済が安定しない当時だからできるこの方法でローカルの競合他社を突き放していきました。これも国内外に流通網が出来上がっているからこそです。

 この戦略でカテゴリーごとにベンチマークを決めて勝負をし、ヘアワックス、ヘアジェル、ヘアクリーム、香水、タルカムパウダー、ポマード、トゥーウェーケーク、など11のシェア・ナンバー・ワンカテゴリーを作ることに成功しました。50%超のシェアを持つとその先には価格決定権も手に入ります。ほとんどの店頭に必ず商品が入るようになるという好循環が起こります。

 国内がうまく回り出して売り上げが回復していったのは2002年ごろ。副社長になってから3年、社長になって2年目でした。

 いろいろなことが面白いようにはまり、目標数字も楽々達成していると、年末はギリギリまで従業員を働かせる必要がなくなります。インドネシアではイスラム教の断食明け休暇(レバラン)がありますので、年始の祝日は1月1日だけ。通常は年末年始は合わせて通常3日ほどしか休みはないのですが、このころには決算業務のある財務部と棚卸し業務のある倉庫以外の従業員には特別有給休日として、12月24日ごろで年内の業務を終了させ、ボーナスも12月のボーナスの他に29日には決算ボーナスも支給しました。

 普段本当に厳しい目標を掲げ改革を求めている分、結果が出せたときにはちゃんと報いる。これが経営者としての哲学です。タイ時代に学んだ「会社を潰さない」「社員を幸せにする」ということが一番大事ということと併せて伝えたかった大事なことでした。

 出荷を1週間止めるわけですから問屋の在庫も減り、1月2日にスタートする際にはまたどーんと一斉に出荷されていきます。年始早々また余裕のあるスタートを切ることができるという好循環が完成しました。「自分の方針は間違いない、すべてを自分でコントロールできている、さらに上を目指せる」と実感していました。従業員たちも驚くほど意識も業務姿勢も変わり、成果を共有できたことは経営者として大きな喜びでした。

津波被害への対応と現地にいる意味

 インドネシアで一つ忘れられない出来事があります。2004年12月26日に起きたスマトラ沖地震です。スマトラ島西北部アチェの被害は甚大で、多くの方が亡くなり、代理店の社員や美容部員、そのご家族も亡くなられるという被害を受けました。

 このようなとき、企業はどのような行動をとればよいのか。駐在員や企業がその国に根付き、その国にお役立ちしたいという思いはどの企業も同じだと思います。しかし有事の際の対応の違いで、現地の生活者が企業に対して抱く思いに大きな違いが出てしまうことを痛感しました。

2004年12月26日のスマトラ沖地震の津波に襲われたアチェ。マンダムの対応はインドネシア国内で高く評価された(写真:123RF)