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 香りの商品は、ブランドの基本香調を中心にイスラム系やチャイニーズ系など、民族ごとに好む香りと国内で受け入れられ始めたインターナショナルな香りの数種類をラインアップ。それを地域の民族分布に合わせ6種類の中から最低4種類は店頭に並ぶように揃えました。サイズは、基本のMサイズにL、LLサイズ、ボトル、詰め替え用。小さい方にS、ミニ、さらにサチェットという1回分が入った小袋まで準備しました。つまり、広大な国土のどんな島のどんな小さな町の小さなお店に行っても、必ず好みの香りとニーズに合うサイズの商品があるという状況を目指す作戦です。

すべての経済層の若者たちがオシャレをしたいと思ったときに使えるように、小さなサイズの商品をそろえた(写真:123RF)

 これだけのサイズ展開、特に小さいサイズを用意する理由は、企業理念である、「その国の一般的な生活者すべてにお役立ちする」という基本の具現化を目指したからに他なりません。当初から裕福な人たちだけではなく、一般的な生活者に届けるために海外に進出しました。化粧品は、せっけんやシャンプーなど生活必需品を起点とすると、その一つ上の段階に位置する商品です。

 必需品以外のものなど買える余裕のない人たちも多く、豊かとはいえない地域もたくさんありますが、そんな若者たちが「今日はデートだ」とか「今日はかっこよくしたい、オシャレしたい」という時にあったらうれしいもの、そんな人たちが日本の有名ブランドの、しかもこの価格だったら買えるという手が届くものにするためです。

 しかしながら、日本ブランドの矜持(きょうじ)として中身の品質は落とせない。代わりにそれ以外の梱包資材は極限まで機能を含めてそぎ落とす、そして中身のサイズを小さくする。こうすることによってすべての経済層の生活者が購入可能となり、全国隅々まで展開できるようにするわけです。

 サチェットは1袋たった6グラムです。しかし全国各地で1億個売れたら6億グラム、つまり600トンという量になります。それだけの量を生産することで生産コストも下がり、たとえ1個の粗利が5銭だとしても3000万円の売り上げになります。特にインドネシアのような市場の大きな国では単価が安くとも工場全体の減価償却費や一般管理費を吸収して大きな利益を生んでくれます。

インドネシアの流通網づくりの 鍵は「アゲン」

 そこで、特に重要なのがインドネシアでの流通網づくりでした。基本一社と総代理店契約を結び、全国に支店を開いてもらう形で流通網を構築していくのですが、なにしろインドネシアは世界最多の島を持つ島国で、東西の長さは5110Kmもあります。宗教も民族も言葉、方言も生活レベルも様々です。地方にはそれぞれ地域の言葉を話し、各地の部族とも信頼関係を結んでいる地域一番の問屋がいくつか存在しています。

地域の有力な問屋と地域総代理店(アゲン)として契約、インドネシア全土に拠点を構築した(写真:123RF)