海外富裕層向けの情報配信サービス「Japan Vista」も展開していますね。

丸山:今はFIT(海外個人旅行)の時代なので旅行会社を使う人は減っています。旅行者はインスタグラムで気になった場所があればグーグルで検索し、その後、トリップアドバイザーで評価を確認し、実際に出掛けるというような流れが増えています。

 ところが富裕層は、お金は持っているけれど時間がないので、旅行プランづくりを家族や秘書に任せます。すると、特に秘書は間違いのないものを用意しなければいけないと考えるので、自分ではアレンジせず、富裕層向けの旅行会社にプランを依頼するのです。

 富裕層向け旅行会社の顧客リストに情報を発信できると富裕層に情報が伝わります。そこで、富裕層向け旅行会社に観光やホテルなどの情報を流せるというメリットを皆さんにも活用してもらおうという意図で始めています。

 私たちの仕組みではマーケティングデータも取得できます。例えば、欧米の人たちのニーズに刺さると思っていた旅行プランを掲載した電子メールの開封率がインドや中国で高いといった現象が見えてきます。そこを評価いただいて、利用されています。

誰も知らないビジネスモデルを立ち上げる苦悩

創業時に苦心されたことがあれば教えてください。

丸山:創業時の苦労といえば、やはり信頼のなさでした。どんなに良い体験プランをつくっても、私たちに信頼がないと売れません。

 もしも私が上場企業の会長なら、肩書で売れるかもしれません。ですが、ぽっと出の若造がどんなに素晴らしいものをつくっても、信頼してもらえない限り売れないのです。ベンチャーで、目に見えないアセットである体験を高額で売るのはかなりハードルが高いと実感しました。

 だからこそ、実績をつくり、自分たちだけでPRするのではなく周りからも紹介されるようになることで信頼性を高めていくしかありません。

 当社を設立する前に立ち上げた2社はIT企業でしたので、そこは比較的早かったのですが、今回はそもそもビジネスモデルが知られていませんし、表に出せない事案も多いので、認知してもらうことさえ難しく、信頼もなかなか得られませんでした。

 この仕事は、人とのつながりを大切にして地道にコンテンツをつくっていくという非常に泥臭いものです。しかし、この泥臭さの先にしか高い価値はないと思っています。

今後のビジョンを教えてください。

丸山:日本でナンバーワンの高付加価値体験コンテンツのサービスプロバイダーを目指しています。だからこそ、今後もそこにしかない資産を持つ組織とのコラボレーションを拡大し、独自性をますます高めていきます。

「とてつもない歴史のある日本でなら、圧倒的に高い価値のある富裕層向けの体験を生み出せますが、それをしつらえるのは非常に難しい。挑戦のしがいがあります」と語る丸山氏(写真:清水真帆呂)
「とてつもない歴史のある日本でなら、圧倒的に高い価値のある富裕層向けの体験を生み出せますが、それをしつらえるのは非常に難しい。挑戦のしがいがあります」と語る丸山氏(写真:清水真帆呂)

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