マネタイズはどのようにするのですか。
丸山:こうした富裕層向けのコンテンツの課題は、まずはつくること自体が難しいので圧倒的に数が少ないこと、それから、それらを束ねておいて何種類も提供する仕組みが存在していないことでした。
私たちは、体験プランを数多くつくり、それらを世界中の富裕層を顧客とする旅行会社やコンシェルジュサービスを提供している会社、あるいは富裕層個人のネットワークに卸して代理販売をしてもらう、B to B to Cのモデルで進めています。
私たちは、富裕層を顧客に持つ世界の企業を地道に開拓していって、89カ国・地域の約2000社とつながっています。
商品の販売については、例えばある百貨店の外商の方々に体験プランを売っていただいたり、プライベートバンクの方々から彼らの顧客にプランを紹介してもらい、興味を持つ人がいれば私たちからプランを販売したりしています。銀行の場合はプランを直接売れないので、紹介を受けるスタイルです。
このビジネスモデルに自信を持ってイエス、と言える理由があります。
旅行業は基本的には手配業です。しかし、従来型のビジネスモデルがICT(情報通信技術)により破綻し始めています。今後この業界で儲かるのは、川上か川下の末端です。
川下の末端を囲っていくのは、誰でも簡単に旅行をアレンジできるグーグルトラベルやブッキング・ドットコム、エアビーアンドビーです。逆に簡単にはアレンジできない川上の末端はどうかというと、ここのプレーヤーはまだまだ少ない。
今後増えてくると考えていますが、私たちは既にそこに参入しているのです。

富裕層の体験のベースも食とお酒
体験プランに定価はあるのですか。
丸山:基本的には“プレパッケージ”に松竹梅のコースがあり、おおよその価格は決まっていますが、そこに必ずお客様から、カスタマイズのご依頼があります。なので価格は変動しますし、4時間の体験で数百万円という体験プランさえあります。
プレパッケージの数はどれぐらいあるのでしょうか。
丸山:プレパッケージは数百あります。ただし今は優れた体験プランだけを販売しています。本当にレベルの高い体験は、年に1回か2回しか提供できないこともありますし、京都ならやはり春と秋をメインに提案させていただいています。
ちなみに富裕層の好む体験の基本は食とお酒ですね。これは世界共通です。
文化の人気ジャンルとしては「アート」と「建築」。アート分野では、コンテンポラリーアート(現代美術)もかなり人気があります。ショービジネスやお酒を飲み歩く“バーホッピング”などいわゆる「ナイトタイムエコノミー」の体験も人気です。あとは「自然」です。体験プランをつくる際は、いずれかが必ず入るように検討しています。
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