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年々増加する外国人観光客を、飲食店などが積極的に取り込むための支援サービスを提供するTakeMe(東京・千代田)。2020年1月8日、日本美食から社名を変更した。主なサービスは、海外向けに特化した飲食店などの情報発信と、来店した外国人が便利に使える決済サービスの設置だ。今、同サービスを活用する店舗が増えている。中国出身の董路社長は日米で学び、中国で事業を成功させた後に日本に戻り、15年に同社を立ち上げた。今後は、対象となる国や業種を広げていくという。

事業の内容を教えてください。

董路氏(以下、董):主力サービスは2つあり、1つは「日本美食」という、インバウンドのお客様を集めるためのマーケティング支援サービス。もう1つは「TakeMe Pay」という、店舗で複数のスマートフォン決済ができる決済情報のゲートウェイ提供です。

 外国人観光客は日本人のお客様よりも客単価が高いので、外国人観光客に多く来てもらえれば、お店の客単価は上がります。では、外国人観光客を増やすために日本の飲食店や小売店は何をすればいいのか。

 “旅前”“旅中”“旅後”それぞれのタイミングで実践すべきことがあります。外国人観光客は、突然、お店にやってくるわけではありません。例えて言うなら、秋の農作物を収穫するには、春の種まき、夏の栽培という行為が欠かせないように、旅前、旅中での作業が必要です。

董路(ドン・ルー)
TakeMe株式会社代表取締役社長CEO。1972年、中国・北京生まれ。98年、留学先の埼玉大学経済学部を卒業し、ゴールドマン・サックスに入社。2004年、米スタンフォード大学にてMBA取得。06年、オーダーシャツのECブランド「Beyond Tailors」を北京にて設立。08年、ランジェリーのEC「La Miu」を北京にて設立。「La Miu」では14年までに30億円の資金調達に成功し、中国ナンバーワンの独立系 EC ランジェリーブランドに成長させる。14年に再来日し、日本美食(現TakeMe)を設立。インバウンドプロモーションおよびスマホ決済事業で注目されている(写真:山本裕之)

 具体的には、お店のこだわりやストーリーを日本語だけでなく、英語や簡体字や繁体字で発信しておく必要があります。そうしておかないと、例えば中国人が百度(バイドゥ、中国の検索エンジン)で検索しても見つけられません。

 外国人観光客を増やしたければ、外国人観光客向けのWebページやコンテンツが必要で、私たちはその作成とプロモーションを請け負っているのです。

 既に日本語のページを持っているお店は多いので、基本的にはそれを翻訳して海外向けのページを作ることになりますが、見せ方は変えますし、場合によっては改めて取材もします。

外国人が望む情報はお店の雰囲気ではない

 実は、日本人が飲食店の情報として求めるのは、料理がどうかだけではなく、デートにふさわしい雰囲気であるかどうかや、駅からの距離であることが多いのです。

 外国人観光客が求める情報は違います。ご自身が外国人観光客として海外へ行く場合を考えてみてください。店選びのポイントは、雰囲気や最寄り駅からの距離ではなく、まず料理そのもののはずです。なので、外国人観光客向けには、店の雰囲気の写真よりも料理の写真を優先して見せて、メインの料理がステーキなのか焼き鳥なのかを一目で分かるようにしておきます。

 旅前の作業としては、既にある日本人向けのページを翻訳するだけ、あるいはグルメサイトに掲載されている情報を多言語化するだけでいいというわけでもないのです。

 それに、外国人観光客は、旅前に情報を収集しても実際に日本に来るまでには時間がかかります。となると、旅前にインプットした情報を忘れてしまうことも少なくありません。

 そこで私たちは、確実な来店につながるように、予約を受け付けたりクーポンを配布したりもしています。そうすれば、私たちは何月何日に、中国からのお客様が3人、英国からのお客様が4人あなたのお店に行きますよとお店に知らせることができます。そして予約当日、お客様がやってきます。