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丸林:今度はその1年後に東京・自由が丘の空き地にテントを張って、そこにクリエーターを集めて「tent.creema(テントクリーマ)」の第1回を開催しました。これは手応えがありました。クリエーターが出品した作品がよく売れたんです。

 これによって、サイトの売り上げもダイレクトに伸びたというわけではないのですが、多くの人がクリエーターの作品に興味を持ってくれるという手応えはありました。次に東京の恵比寿ガーデンプレイスで第2回を開催、その後、流通の事業者から声が掛かってきたという流れです。着実に伸びてきたなと感じたのは、2012年夏ごろです。

 ただしこの頃までは、創業メンバーたちの出資金で食いつないでいたような経営状態です。一方で、市場が盛り上がってきたのはよいのですが、参入者が増えて戦国時代のような状況にもなってきました。この状態は危ないと感じました。そこで資金を調達し、この時期を乗り越え、本格的なサービス拡大につなげていく投資も必要だと考えました。

 このときの資金調達は今から見ると小さな規模です。それでも、約7000万円を資金調達するまでに1年ぐらいかかりましたし、調達した時点では残金はほとんどない状態でしたから、このときは本当につらかった。

写真はCreemaの大型イベント「ハンドメイドインジャパンフェス」の会場。東京ビッグサイトで2013年から開催中。19年からは年2回の開催となった。このほか小規模なイベントを含めると年20回以上のイベントを開催している(写真提供:クリーマ)

今後はより楽しく刺激的なショッピング体験を届ける


現在のCreemaをどのように発展させていきますか。


丸林:今、約15万人のクリエーターによる約700万点の作品が集まっていて、専用アプリは800万ダウンロードされています。サイトの月間訪問者数は1300万を超えています。ユーザーは20代から40代の女性が7割くらいです。

 これまでは、基本的に市場拡大のための施策を打ってきました。700万点という数字は超の付く大手ECサイトの商品数に引けを取らない規模で、作品のバリエーションもポテンシャルも大きくなったと思っています。なので、今後はユーザーとクリエーターとの出会いの精度をより高めていく必要があると感じています。

 ユーザーはそれぞれ、性別や年齢、趣味、価値観やライフスタイルが違います。適切な人に適切なタイミングで、適切な選択肢を提示する、そういう出会いを創出する仕組みの開発が重要だと思っています。

 クリエーターやカテゴリーなどの具体的な要素から「自分の力で探す」ことは楽しいし、大切な切り口ですが、好みのスタイルや世界観など個人のふわっとした趣味嗜好から、その人が潜在的に求めている作品との奇跡的な出会いがより多く生まれるようになれば、ユーザーとクリエーター双方にとって、もっと刺激的でハッピーな場になります。

 自分たちはこれまで走りながら考えるような状況で事業を進めてきた面もありましたが、今後は、AI(人工知能)などもっと高度なテクノロジーを使いながら進化させていくべく、本格的な検討を始めたところです。