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どんな方法でもいいから組織を出てみること

能村:この4月から、国家公務員でも、企業でなければ、例えば、一般社団や財団などで、有償の兼業・副業ができるようになりました。また、経済産業省ではベンチャー企業への育成出向を始めました。1年くらいたって戻ってくると、まるで人が変わっているのです。やはり、人を生かすも殺すも組織次第ですね。

森本:兼業・副業を認めない組織は、これから選ばれないのではないでしょうか。起業するというのであれば、この20年で非常に起業しやすくなってきました。法律面でもそうですし、開業資金の面でも銀行以外にVC(ベンチャーキャピタル)やエンジェル投資家などいろいろな調達ルートが出てきました。そのほか、(スタートアップを支援する)アクセラレータープログラムなど、ビジネスのアイデアがあれば起業を支援してくれる仕組みが整っています。こんな時代ですから、もし、今の会社や組織で夢がかなわないのなら、自分でやってみる選択もありだと思います。あるいは、転職や起業までいかなくても、NPOやボランティアに参加するだけでも有意義です。

北野:組織を下から変えるには、オピニオン(意見を言う)とエグジット(退職・退場する)しかない、と山口周さんが著書の中で言っています。実はもう1つ、組織を変える方法があります。それは「外で目立つ」「外で成果を上げる」こと。例えば、個人的に本を出そうとすると、それに反対する会社もあるでしょう。しかし、何とかして出版したところ、売れてしまった。そうなると、会社もメリットを享受できますから「いいじゃないか」となってくる。このように重要なのは「組織も学習する」ことを理解すること。最初に、組織に学習させた人がイノベーター人材と言えるのではないですか。

田中:もし1つの組織の中でルーティン業務をこなしているだけであれば、イノベーションは絶対に起こせません。イノベーションを起こすには、同じ会社にいても、ほかの場所でどうやって動くか、という目を持つこと。特に体力的、精神的、経済的にパワーを最大限発揮できる時期に、1つの組織にとどまっているのはもったいないです。個人レベルで他と提携してもいいし、個人のキャリアとしていろいろなことに手を出してもいい。兼業・副業でも、プロボノ活動(専門知識や能力を生かしたボランティア)でも、社会貢献でもいい。とにかく、目の前の景色をうのみにせずに、動き続けること。そしてエネルギーをため込み、ある瞬間に、爆発的な破壊力を発揮していく。それがイノベーションの原動力なのです。

(構成/若槻基文)