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重要なのは「知識」より「学ぶ力」……革新的な人材育成のために

 最後に綱場氏は、ノバルティスグループの人材育成についての考えを紹介した。特に現在重視しているのが、「知識よりも、学ぶ力の方が重要である」という理念に基づいた教育プログラムだという。テクノロジーの発達により、「知識の短命化」と呼ぶべき現象が起こっているからだ。

 「人材育成の権威、リズ・ワイズマン氏の著書『ルーキー・スマート』(海と月社)は、これだけテクノロジーが発達している現代では、技術型の産業における知識の30%はたった1年で時代遅れになり、使えないものになっているといいます。知識に頼っていては、その人自身も使えない人材になってしまう。だから知識依存から脱却すべきだ、と同氏は述べています。我々が現在取り組んでいる人材育成も同様の発想に基づいています」(綱場氏)

 「アンラーニング(学習棄却)」を重視したトレーニングプログラムを取り入れているのはその一例だ。成功体験を持っている社員たちに対し、過去の知識をいったん捨て去って、新たな観点での課題解決を促すものだ。

 「常に学ぶ姿勢を保ち、能動的に学び、年齢に関係なくルーキーであり続けてほしいのです。我々は『UNBOSSリーダーシップジャーニー』と呼んでいますが、そういう考え方を浸透させるようなトレーニングをしています。

 以上が本日、私がみなさんにお伝えしたかったことです。少しでもみなさんの会社でのヒントになればと思います。ありがとうございました」(綱場氏)

●質疑応答

Q1:UNBOSSリーダーシップジャーニーは具体的にどういうことをしているのか。

 現状は1年間のプログラムで、face to faceのプログラムもあればオンラインもありますし、少人数によるディスカッション形式の研修も取り入れていますが、試行錯誤でやっているところです。

 内容はどちらかと言うとメンタリティーや企業文化に関するものが中心です。UNBOSSを実践するには何が必要か、部下とのトラスト(信頼)を構築するにはどうすべきか、全員がモチベーションを高めるにはどうしたらいいか、社員同士が意見を出し合って進めています。