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社員主導によるオフィス環境づくり

 次に綱場氏は、オフィス環境の改革について紹介した。その一つとして2015年、同社は全ての社員のデスクをフリーアドレスにすると同時に、社長室も役員室も撤廃したという。綱場氏は普段、「社長席」と呼ばれるデスクに座って仕事をしており、さらには今年中には、社長席や役員席もなくす考えだ。

 「社長も役員も全員がフリーアドレスの席に座るわけです。日本では、出世すると座る席が変わるのが一般的で、あたかも座る席が地位の象徴のように思われがちです。我々はオフィス環境の見直しにより、こういうカルチャーを変えていきたいと考えているのです。これも『UNBOSS』の一環です」(綱場氏)

 このほかにも、光や音に敏感な片頭痛の社員に配慮して、光を制御し暗闇で仕事ができる職場環境づくりに取り組んだり、子育て中の社員が15分程度のごく短時間の仮眠(パワーナップ)をとれるパワーナップルームの設置を計画したり、買い物の時間がなかなかとれない社員のために大手百貨店の協力を得て社内販売を実施したりするなど、ユニークなオフィス改革に取り組んでいる。これらも全て社員主導により、社員の声を反映しながら進めることを重視しているという。

自ら2週間の育休を取得、育休に関する価値観の改革を促す

 続いて綱場氏は、育児休業の取得推進、病気休暇の拡大、リフレッシュ休暇の導入、週2日のテレワーク承認など、働き方に関わる各種制度を紹介した。中でも育児休業については、今回の講演でも非常に前向きな姿勢を示した。綱場氏自身が昨年2月に2週間の育休を取得し、話題を集めた。

 「2週間の育休は決して長くないはずです。当社のような規模の企業の経営者が取得するのはあまり前例がないらしく、いろんなところから取材を受けました。日本の育休に対する考え方はまだまだそういう段階なのかなと感じました。ただ私自身が取得したことは社内の育休取得の機運を高めたようで、2017年で7人だった育休取得者が、2018年には21人まで増えました」(綱場氏)

 

 育児休業については、このほどスイスのノバルティス本社が「男性の育休は有給で14週間を制度化する」というグローバルの新たな方針を決定したという。現在の日本の男性育休取得率や取得日数の実態からすると意欲的な方針設定に見えるが、むしろこれがグローバルスタンダードなのだろう。「当然ながら、この方針を受けて日本でも一層改革を進めていくことになるでしょう」と、綱場氏は明言した。