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兼業必須を支えるアソブロックのサブシステム

 団氏の話は、自身の経験に基づく実践的な内容にも及んだ。兼業を成功させるには、その土台となるサブシステムが重要だという。アソブロックにおいては、①ジョブの明確化、②納得できる報酬規程、③情報の徹底共有の3つがある。

【①ジョブの明確化】
 誰がやるのか不明確なジョブが社内にあふれている。自分のジョブが終わったら、自分の好きにしてよく、その代わりにきっちり成果を出す。この合意形成があるからこそ兼業が可能となる。アソブロックでは電話は誰が取るかといったことに至るまでジョブを徹底的に明確化しているという。

【②納得できる報酬規程】
 会社が兼業を許すと従業員の個人としての収入が増えるため、従業員自らが兼業を含めてトータルでどう稼ぐかコントロールできるようになる。そのときに会社が用意すべきなのは、『この仕事ではこのギャランティー』という納得できる報酬規定だ。アソブロックでは、自分で報酬を決めることが一番納得を得られるという考え方で、従業員が自分の収入を自分で決める『報酬の宣言制度』を設けている。例えば年初のミーティングで『今年はA社ではこれくらいのジョブで、B社とC社でも仕事をします。アソブロックの仕事は少し控えるので月15万円でいいです。その代わり社会保険はアソブロックでお願いします』といった具合です」(団氏)

【③情報の徹底共有】
 アソブロックでは、代表取締役の団氏の分も含め、全員の報酬と経費が一円単位で常時公開されている。そうすると従業員にも経営意識が生まれ、自分がどれくらいの売り上げを上げるのが適正かを把握でき、業務改善に通じるアイデアが自然と出てくるという。「これまでの日本企業は社内の情報格差でマネジメントしてきた面がありますが、ネットやSNSが普及する今の時代には通用しません」(団氏)

「会社人」ではなく「社会人」を育てたい

 団氏は最後に、アソブロックのように兼業を必須にすることが「働く人の意識改革」につながると強調した。

 「アソブロックのおかげで『会社人』とお別れすることができた。今日からが本当の『社会人』です。兼業を必須にしているのは、こう言える人を増やしたいからです。『働く人=会社人』になるから、世の中で色々な不正が起きるのではないでしょうか。兼業すると、個人は損得ではなく、善悪で判断できるようになります。会社という足かせが無くなり、社会という大地に立てている気持ちになります。兼業を導入することで、働く人が善悪で判断して行動できる『社会人』になる。そういう人が一人でも増えれば、働くことがもっと楽しくなり、ひいては国全体がイノベーティブで朗らかになるのではないでしょうか」(団氏)

(構成/若槻基文)