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兼業への過大な期待は禁物

 一方で、兼業への過大な期待は禁物のようだ。団氏は兼業を導入して気付いた「ネガティブな事柄」について2点を指摘する。

  • ①メンバーのエンゲージメントは上がらない
  • ②兼業の実践者が多数派にならないとシナジーは生まれない

 「兼業OKにすることで、従業員の会社へのエンゲージメント=忠誠心が上がると考えがちですが、絶対に上がりません。ただ、これは悪いことではありません。会社と従業員の関係が対等に近づくことを意味するからです。兼業がもたらすシナジーやイノベーションに期待する向きも多いでしょう。しかし私の経験上、実際にシナジーやイノベーションが期待できる状況になるのは、兼業実践者が社員の半分を超えてからです。兼業を導入するのであれば、半数以上の社員が兼業実践者になることを目指すべきです。兼業者が多数派になると、従業員同士の普段の雑談の『質』が変化し、これがイノベーションの源泉になっていくのだと思います」(団氏)

導入理由と位置付けの明確化が重要

 団氏は、兼業を会社に上手く導入するためのポイントは「導入理由の明確化」と「位置付けの明確化」の2つだと指摘する。

 「この2つがしっかりしていれば、大きく失敗することはありません。アソブロックの場合はどのように導入理由と位置付けを明確化しているのか。次のような会社システムの模式図でご説明します」(団氏)

アソブロックの「人が成長するプラットフォーム」

 「ここに掲げた『人が成長するプラットフォーム』というのは、弊社の経営思想=ビジョンです。このビジョンの実現に最も効果的と考え、『兼業必須』を会社のメインシステムと位置付けています。つまり弊社が兼業を導入している理由はビジョンに資するからであり、その位置付けは会社におけるメインシステムです。そして、それを支えるサブシステムとして『ジョブの明確化』や『情報の徹底共有』を置いています。このように兼業の導入理由と位置付けの明確化が大切です」