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サイレントヒーローをあぶりだす

寺山:信頼関係の構築という意味では、Fringe81さんの「サイレントヒーローを探す」というお考えが素晴らしいと思いました。会社がどういう人を重視しているのか、何が重要だと捉えているのか、目に見える形で表されているのですね。

田中:ありがとうございます。サイレントヒーローとは、人知れず会社に貢献してくれた人のことです。もともと優秀な人をいかに合理的かつ納得性を持って評価するかに取り組んでいて。考えてみると、数字で評価しにくいが、会社にとって大きな貢献をしてくれた人はたくさんいます。例えば、経理の人が営業担当のために大急ぎで帳票を出してくれたとしても、意外と感謝されないし褒められていない。それをいかに見いだすかは結構重要なテーマだと思ったのですね。それで、先ほどのピアボーナスの仕組みを、サイレントヒーローのあぶり出しのために活用しています。

寺山:人事が一番苦労するのは、経営の一番トップに必要性を理解してもらうことですね。その点、トップの理解があるオリックスさんは羨ましいと思っています。トップにコミットメントしてもらう秘策があれば教えていただけますか。

三上:秘策や奇策などはありません。会社の中長期的な成長にとって必要なことを適切な言葉で、適切な機会に伝えることだけを心がけています。もちろん最後はトップの判断ですが、忖度(そんたく)せず、本質的に会社のためになることを伝えるようにしています。

寺山:以上のような人事の悩みに、PwCさんはコンサルティングの立場でお答えになっていると思います。人事改革と社内コミュニケーションの関係性について、最後にご意見をお聞かせください。

北崎:日系企業の場合、そもそも人事マターに関わっているプレーヤーの数が少ないと感じています。先ほどもお話したように、当社では人事に関しては各事業部のトップが必ず参加します。

 大規模な人事的改革に取り組んで企業全体を大きく変えようというとき、全社単位で動くようなプラットフォームができていないと、結局人事部門のみなさんの負担ばかりが重くなってしまいます。今後は環境変化がますます速くなり、迅速に対応できる企業が勝ち残っていくはずです。会社として人事マターをどう取り扱うか、人事部門だけでなく、各部門がそれにどのように関与すべきかを今のうちに見直しておくことが大切ではないでしょうか。

(構成/若槻基文)