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従業員同士で少額のボーナスを勝手に送り合う「ピアボーナス」

北崎:我々PwCは世界最大級のプロフェッショナル・サービスネットワークです。従業員はグローバルで約25万人、日本には約7300人がおります。職場環境における顕著な変化は、グローバル化・多様化。日本国内の我々がいる部門の中だけでも38カ国出身の人々が働いています。さらにデジタルネイティブの世代も増え、従業員の価値観も加速度的に多様化しています。

 かつては1人の従業員に対し1人の上司がサポートしていくモデルが主流でしたが、早晩限界を迎えるはずです。「多様なマネジメント構造」と「リアルタイム性」の2つを念頭に、マネジメントのあり方の見直しを進めています。具体的には社員1人に対し、仕事を指導する上司のほか、キャリア指導を担当する者や、悩みの相談に幅広く対応する者など、複数の人間でサポートする体制を導入。

 またICTの活用により、月1回の頻度で社員のキャリアデベロップメントを討議する機会を設けています。これらによって、社員の多様な価値観にできる限り対応しつつ、マインド変化のスピードにも対応できるよう努めています。

PwCコンサルティング ディレクターの北崎茂氏

田中:2017年、Fringe81はマザーズに上場しました。その後の2年間で劇的に変わったことが2つあります。1つは働き方改革法の成立・施行により、残業削減などの法整備が進んだこと。もう1つは上場企業としてガバナンスが今まで以上に求められるようになったことです。

 上場する前はオーナー企業として、とにかく社員を大事にしてきましたし、それだけで業績もちゃんと残せました。しかし上場後はあらゆるステークホルダーへの配慮が必要ですし、残業の上限規制によって社員に払える残業代も減ってしまった。このままだと会社の内部留保が増えるだけで、社員の手取りが減ることになる。そこで、労働分配率を上げることが重要なテーマになったんですね。

 従業員同士で少額のボーナスを勝手に送り合っていいよという「ピアボーナス」のシステムを作ったのもその一環です。公平性・納得性を高く維持したまま労働分配率を上げていく、環境変化への一つのソリューションになっていると思っています。

Fringe81(Unipos) 代表取締役CEOの田中弦氏

唐澤:メルカリという会社はフリーマーケットアプリを主に展開しています。人事に関する取り組みで、一番私たちらしい特徴的なことは、「ミッション」と「バリュー」を主軸にして組織づくり・採用・人事評価など全てを行っていることだと思います。ミッションは「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」です。とにかく世界を目指していて、いわゆる「GAFA」やAirbnb、Uberのような世界的なテックカンパニーでありたいと考えています。

 また創業時からバリューというものを定めていて、それが「Go Bold 大胆にやろう」「All for One 全ては成功のために」「Be Professional プロフェッショナルであれ」の3つ。つまり社員全員が、失敗を恐れず大胆にチャレンジし、力を合わせて最大のパフォーマンスを目指し、その道のプロフェッショナルとしてオーナーシップを持つ。みんなが日々、このバリューに立ち返って一人ひとりの行動を見直していこうと取り組んでいます。

 最近、ミッションとバリューに加えて、「カルチャー」を定めました。すでに日本国内のオフィスの中でも約40カ国出身のメンバーが一緒に仕事をしていて、非常に人材の多様性が進んでいるので、「メルカリはこういう会社だよね」というのを改めて定義しようと。それを「Trust & Openness」と呼んでいます。

 経営陣はメンバーを信じ、メンバーは経営陣を信じる。信頼関係を前提に、経営も事業に関する情報も、ほぼすべてを全社員にオープンにしていています。一人ひとりが自由に考え自分で決断するには、判断材料が必要だからです。常に現場に情報があり、お客さまに最も近いところで社員が決めていくことを重視しています。

メルカリ 執行役員VP of People & Cultureの唐澤俊輔氏