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創業80周年を迎えたメガネレンズメーカーの東海光学(愛知県岡崎市)。古澤宏和社長の祖父が将来有望な市場を予見し創業、その後ずっとメガネレンズを作り続けてきた。メガネは高額商品ではなくなり、人口減も始まったが、同社は売り上げを伸ばしている。そこには、素材開発、設計、二次加工、販売、それぞれに独自の強みがあった。三代目が大手に負けない経営と今後の抱負を語る。

東海光学は2019年に創業80年を迎えられたそうですが、これまでの歩みを教えてください。


古澤:祖父が名古屋でメガネレンズ工場を建てて創業しました。当社の転機は、全国28企業、350店舗が加盟するボランタリーチェーンである協同組合オールジャパンメガネチェーン(AJOC)から、指定レンズメーカーに指定していただいたことでした。

 そのAJOCの成長につれて当社も成長できました。80年間変わらず、当社の主力製品はメガネのレンズです。ほかの業種を見ても、ずっと同じものを作り続けているというケースは少ないと思います。

 東海光学全体の売り上げは18年度に110億円で、そのうち100億円がメガネレンズによるものです。

古澤宏和(ふるざわ・ひろかず)
東海光学株式会社代表取締役社長。1970年愛知県岡崎市生まれ。94年中央大学理工学部を卒業後、東海光学入社。社長室長兼海外事業担当、専務を経て2009年から現職。「不易流行」を信条としている。趣味はスキー、スポーツ観戦など(写真:上野英和)

「目の健康のためにかけるメガネ」を提案


メガネレンズは歴史の長い商品で、基本的には大きく変わることのなかった商品かと思いますが、どのように進化してきているのでしょうか。


古澤:これまでもこれからも変わらないメガネの価値は、まず視力補正にあります。見えにくい遠くや近くがよく見えるようになる。もう1つの価値は、メガネをかける人のファッション性を高めるということです。これも、過去も今もこれからも変わらないでしょう。

 ただ、これからもメガネレンズを主力とした会社として着実に成長していくには、メガネの新しい価値をもっとつくり出し、市場を創造する必要があると感じています。ドラッカーが言う顧客の創造にも通じますが、メガネの新しい価値をつくっていく必要があると考えています。

 当社では14年に「目の健康のためにかけるメガネ」を提案しています。

 当時は健康ブームで、さまざまなサプリメントや器具が売られていました。私たちも、健康というテーマでのメガネを提案できるのではないか、光から目を守るという健康につながる機能を打ち出すのはどうだろう、ということになりました。このコンセプトのレンズ開発に成功し、14年の国際メガネ展で発表したのが「ルティーナ」です。