最新のメガネレンズは何ですか。


古澤:2018年11月に発売した「ベルーナ レゾナスX(テン)」です。ちょうど10年前に、脳の働きを測定できる機械で検証した自然な装用感を実現する遠近両用の「脳科学メガネレンズ」を発売しましたが、その集大成として作った最新の遠近両用メガネレンズです。

 通常の遠近両用メガネレンズでは、どうしても揺れやゆがみが気になります。かけている人がストレスを感じず、むしろ心地よさを感じていただけるものを目指しました。

最新の遠近両用メガネレンズ「レゾナスX」のぼけやゆがみの度合い(右。左は従来品)。両眼での視線移動シミュレーションによりぼけやゆがみを低減、両眼視野での自然な装用感を目指した(写真提供:東海光学)
最新の遠近両用メガネレンズ「レゾナスX」のぼけやゆがみの度合い(右。左は従来品)。両眼での視線移動シミュレーションによりぼけやゆがみを低減、両眼視野での自然な装用感を目指した(写真提供:東海光学)

 レンズの機能は、素材・設計・二次加工の3つの要素で決まります。

 これらの組み合わせで、多様な商品を生み出すのです。ルティーナは素材開発で生まれた商品。脳科学メガネレンズは設計で差異化する商品です。この2つを組み合わせて、室内ではクリアで、屋外では紫外線に反応して色が付くレンズ「ルティーナ レゾナスフォト」という商品も開発しました。

 いかに素材を開発するか、設計を開発するか、二次加工を開発するか。そこが当社の開発チームの重要なテーマです。

 最近は、これらの中でも素材開発に力を入れる必要があると感じています。ルティーナの開発は14年。それ以前に屈折率が1.76という世界最高屈折素材の開発を成功させ、この記録はまだ抜かれていませんが、これを開発してからもうおよそ13年がたちました。

東海光学の売り上げはここ数年、横ばいという印象です。


古澤:今の日本のメガネ小売市場は若干、下がりつつあるという状況にあります。その中で私たちは、大きくはありませんが数量も売り上げも伸ばせていて国内シェアは16%あります。ただし、今後も成長していくには、まずはシニア世代のエンドユーザーを何としてでも確保していく必要があります。

 日本の人口は減り始めています。ですが、遠近両用を必要とされる方は28年頃までは増えていきます。当社は遠近両用のメガネレンズを作り出したのがほかのメーカーと比べると遅かったためシェアは大きくありませんが、競争力を持った商品なのでシェアは高まっていくと考えています。

世界ではまだまだメガネは成長産業


海外市場の開拓にも注力されていますが、今はどのような状況でしょうか。


古澤:以前は、例えばフランスを中心とした大きなメガネの小売りチェーンに販売していたのですが、そのチェーンが買収され、売り上げが減るといったことが起こりました。卸事業者も減っていくなど状況は常に変わってきていて、事業は簡単ではありませんが、販売先は64カ国に広がっています。

 ちなみに海外事業では、国によって戦い方を変えています。例えば市場は大きいのですが競争も激しい中国では、10年に販売会社をつくって小売りに取り組んでいます。インドでは大手チェーン店と直接取引しています。欧州では1990年代に立ち上げたジョイントベンチャーを軸に、工場も現地に持ち、ロシアからアフリカ・中東まで販路を広げつつあります。

 グローバルに見れば人口は増え、メガネも成長産業です。さらに、生活が豊かになれば目を酷使し視力が悪くなりますので、人口の多い国が経済成長すれば、さらにニーズは増えると考えています。

 私たちの海外事業部が、海外営業部から改まったのは2000年。私は10年前、東海光学が70周年を迎えたときに社長になったのですが、その10年前、つまり今から20年前に、国内でしっかり収益を上げ、海外事業部と光機能事業部を成長エンジンとして、90年、100年とやっていこうと考えました。これは今も変わらない一貫した考え方です。

次ページ 原動力はチャレンジする・勉強するというDNA