全6878文字

:私たちの会社は、最初から優秀な人材が集まっていたわけではありません。長い間、社員の能力を引き上げていくしかありませんでした。能力を引き上げるといっても、技術の専門性が高まっても、それが強い組織づくりに直結するかといえばそうでもありません。

 ですが、社員の一人ひとりには、どこか必ず1つは秀でているところがあります。その良いところを認め合って、それらをつなげていけば組織は強くなっていくということを今は実感しています。

 中途入社の社員には、入社3カ月目に、当社のいいところはどこか、直したいところはどこかを書き出してもらっているのですが、みんな「エイチームはすごくいい人が多い」と書いてくれます。いい人とは、お互いを認め合おうとする人のことだと思います。

“変な人”が入社すると後々大変


今では採用のときに「いい人」を選んでいるのでしょうか。


:いい人を採るにはコストもかかりますが、今はそれが大前提になっています。いい人に入ってもらって、すぐにみんなが認め合って強い組織をつくっていきます。

 “変な人”が入ってくると、やはり後々大変なのです。変な人とは自己中心的で、それゆえ周りを混乱させてしまう人です。私たちの会社は独りで何かを勝手に作って勝手に売る組織ではありません。多様な部署の人が連携して1つのサービスを提供するので、協力的に働けることが重要なのです。これは、今のビジネスモデルが求めるものなのかもしれません。

優秀な人材は育成もしやすいように見えます。


:新卒で当社に入ってくる若者はそれなりに優秀です。学生時代は勉強ができて人気もある若者で、ベンチャーで頑張ろうという意気込みもあって、100倍近い倍率の狭き門を突破してエイチームに入社します。その時点では「自分はできる」と思っていますね。

 しかし、いざ会社に入ってみると、仕事は勉強と違い、圧倒的に経験者が勝ちますので、精神的にガッと落ちるんです。

 そこでケアを、対話という形できちんとしなくてはならないと思っています。そのために、上司と部下とで、1週間に1回、30分間のワン・オン・ワン・ミーティングを実施しています。これをサボる部署のモチベーションは明らかに下がります。

事業について伺います。まず、ゲーム事業です。どのようにヒットするゲームを作っているのですか。


:どの事業でも同じですが、まず、1人の思い付きや自分の趣味でビジネスをしないことです。特にゲームの場合はプロデューサーなりディレクターなりが「これがいいんじゃないか」と作りたいものを作ってしまうと打率が下がっていきます。

 人がお金を払って商品を買ったりサービスを使ったりするのは、「欲しい」と思ったときですよね。ところが、思い付きファーストで作られた商品はそうしたニーズを無視しています。この場合、提供者と消費者のマッチする確率、うまくいく確率は低いんです。

 うまくいく確率を高めるためには、基本的にはニーズを調査します。パソコンゲームでは何が売れているのか、世界ではどんなコンテンツが人気なのか。それらがスマートフォン向けにはない、日本にはないとなれば、それをいち早く作るというのが、今の私たちの戦略です。

北欧神話をベースにした3D・RPG『ヴァルキリーコネクト』。世界で累計1600万ダウンロードされた。ネットでつながる最大15人(個々がキャラクターになる)と協力して敵を倒す「コネクトバトル」がセールスポイントになっている(画像提供:エイチーム)