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前職時代、ビジネススクール以外にも経営に役立つ学びはありましたか。


:「やってみなはれ」というサントリーの文化に育てられたと思います。勤務中にこれを口酸っぱく言われましたし、入社2~3年で大きな仕事を任せられて、挑戦することの重要性について強く意識していました。

 サントリーに限らず、多くの経営者の方がおっしゃっていますが、これだけ世の中の流れが速いのですから、変化を起こさないと衰退していってしまうでしょうし、そのことを今度は私が社内で口酸っぱく言っています。

保育事業やランドセルの海外販売に挑戦


2019年は創業100年という節目の年になります。今後のセイバンの挑戦について教えてください。


:ランドセルの製造販売の最適化を目指すとともに、新しい事業も始めようとしています。新しいビジネスへのチャレンジは、私が実現していかなくてはならないと感じていますので、責任を持って取り組もうと考えています。

 具体的には、1つは子ども服のファミリア(神戸市)さんとの保育事業です。ランドセルを買っていただくお客様は保育とつながりがありますから、そのつながりを大事にしたいと思っています。直接的なランドセルの販売につなげるだけでなく、お客様であるお子さんやお母さんを通じて彼らの周辺にあるニーズなどについて視野を広げていきたいのです。

 ほかには、改めてランドセル以外のかばんの製造販売も検討しています。私たちの培ってきた機能を生かせる商品を開発したい。環境にも配慮しながら、さらなる多品種少量生産にチャレンジしていきます。

 海外でのランドセル販売にも挑戦します。既にアジアを中心に少し始めているのですが、欧米でも、どのような商品やサービスを提供できるのか検討しています。ランドセルは日本の誇る文化になっていますが、その文化をそのまま海外に持ち出しても受け入れてもらえないでしょう。ここも戦略を立てて実行していく必要があると思っています。

 海外市場での競争を考えると、今後は外国製のランドセルが日本を含めた市場を席巻する可能性がないとは限りません。ですが、海外企業の場合、今は小学校に就学して卒業するまでの6年間しっかり使える品質の製品を作ることがなかなか難しいようです。私たちのランドセルは、本革以外は国内製の人工皮革が材料です。製造も全て国内工場です。“子ども想い品質”は私たちの大いなる強みなのです。

 今後の挑戦については、私独りが実行していくというよりも、周りのメンバーに実践してもらう必要があるところもあります。そこは、私としては社員のチャレンジを尊重し、大切にする企業文化を根付かせていくことも重要だと考えています。

直営店にてお薦めのランドセルを手に取り、家族が子どもに対して思う気持ちと同じ気持ちで作っているという“子ども想い品質”について語る泉貴章社長

(構成:片瀬京子、編集:日経BP総研 中堅・中小企業経営センター)

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