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ランドセルは特定市場向けの特殊な商品ということが分かりましたが、事業を推進していくうえでの課題があれば教えてください。


:ランドセルは商戦期が決まっていて7月から9月がピークになります。幼稚園や保育園の年長さんに、夏休みに好きなデザインのランドセルを選んでもらって、GMSで購入いただくというパターンが最も多いと思います。

 最近は、GMSでも先に注文だけを受けて、後でお届けするというケースが増えてきていますが、やはりこの時期にはGMSやデパートに見込みで相当量の商品を供給する必要があります。

 夏前のゴールデンウイークにも購入されるお客様が増えてきています。受注のタイミングはどんどんと早くなっていて、受注生産できるのは経営的には望ましいことです。ですが、毎年、年長さんだけに売るという市場ですから、基本的には商戦に時期があり、製造も販売も繁閑が出てしまうことがこの事業の難しいところです。

 まだ最適な方策は見えていませんが、究極的にはお使いいただく4月までにお届けする形で、かなりの割合での受注生産を目指したいと考えています。

製販の平準化が課題


大量生産から多品種少量生産への発想の転換は、いつ頃から進めてきたのでしょうか。


:私が当社に入社したのは8年半前ですが、実はその頃、現場には仕掛かり品や半製品の在庫が山になっていたんです。職人たちが、自分の担当作業をひたすら続け、技能に差があると途中に仕掛かり品がたまってしまうのです。

 直感的にこれはまずいと感じて「在庫をなくそう」「まとめて作るのをやめよう」と言っていたのですが、現場の職人はそれまで何十年もやってきたやり方をなかなか変えられません。

 その後、カイゼン活動を指導しているコンサルタントにアドバイスを頂くことになり、そこから劇的に状況は変わりました。生産の幹部も研修に参加し、いろいろな企業を見学させていただいて、作り過ぎはよくないし、これまでの考え方ではダメなんだというように意識が変わってきました。

 指導を受けた後は仕掛かり品の数を制限するようになり、職人たちは受け持っている作業が空いた時間にほかの仕事もできるようになりました。在庫スペースも不要になるので、現場の空間にも余裕が出てきました。

多品種少量生産の効率化と受注生産は相性が良さそうです。


:7~9月に集中するランドセルの受注を、まずはもっと早い時期にずらしていくことで製造の平準化ができればと考えています。一方で、平準化を進めるには、受注時期を9月以降にずらすことも考える必要もあるでしょう。とにかくできるだけコンスタントに作っていきたい。

 デザインなどの提案力とその中から売れ筋をつかみ、売れるものを生産に反映させるような仕組み、そして製造と販売の平準化については、本当に知恵を付けていかなければならないと感じています。

製造現場では、作業工程にバランスを取って多品種少量生産をスムーズに進める志向に変わった。手作りが基本のため、職人たちの技能向上と工程管理がうまくいけば、多くを受注生産に切り替えていくことも可能だ(画像提供:株式会社セイバン)