石坂さんはもともと商社マンだったそうですね。


石坂:私は商社で石油関連の仕事をしていたので、大きいものに携われるからこそ、やりがいもあり刺激も受けられると思っていました。

 ところが1997年にビジネススクールに行かせてもらって、そこで学ぶうち、小さな事業でも一から十まで全てに関わり、それがうまくいくのもいかないのも自分次第というもののほうが、自分には向いているし、やりがいを感じると気付いたんです。

 97年は、米国ではネットビジネスの起業ブームの第一波が来ていた年で、これなら自分でも何かできそうだなと思いました。技術職でも発明家でもないのですが、インターネットを既存業界に持ち込んで変革することならできそうだなと思ったのです。

 起業したのは、63歳で死んでしまった父親の影響も大きかったですね。私の祖父は石坂泰三といって、東芝で再生請負人をやっていた人物です。父はその祖父の7人いる子供のうちの末っ子で、なぜか東芝に入社したのですが、いつもサラリーマンは嫌だと言っていました。それでも東芝アメリカの社長、会長まで務めました。

 ところが父は、私が大学生のときに突然辞めてしまって、スタートアップに転身したのです。父は50代後半で、その頃は米シリコンバレーではなく、米ボストンにベンチャーが集まっていたので、ボストンへ移ったのですが、その会社は3、4年で潰れてしまい、60歳で無職になって63歳で他界します。

 でも父は後悔していないと思います。自分の意志でやりたいことをやって、会社は潰れたかもしれませんが、悔いはなかったと私は思えたんです。商社を辞めるのには不安もためらいもありましたが、自分は父のように50代後半まで待てないなと思いました。

海外進出は海外生活を伴わないと難しい

今後のGDOのミッションについて教えてください。


石坂:ゴルフで世界をつなぐことです。ゴルフは生涯スポーツですし、家族3代でも楽しめますし、ゴルフリゾートも多いので、人生の中でゴルフが果たす役割は多いと思っています。

 生活必需品ではありませんが、この遊びを通して個人の心が豊かになったり、あるいは国と国の関係が良くなったり、地方格差が解消したりとか、そういった変化の一助になればと思いながら事業を進めています。

 もう一つ付け加えるなら、やはり企業は世界で勝負していかざるを得ないと思っています。そのためには、私たち日本人も海外へ出ていかなければなりません。日本には外国の人たちが入ってきていますが、日本人もボーダーレスになっていく必要があるのです。

 私自身、年間の約3分の2を海外で過ごしています。すると「上場企業の社長として仕事を放棄していいのか」と言われることもあるのですが、全然放棄していませんし、トップが海外に身を置かないと海外事業はできないと思っています。

 ただ、そうは言っても米国で海外事業を展開すると諸々の事情でとても大変です。だからでしょう、こうした働き方をしている人は本当に少ない。GDOの海外展開は、グローバルな働き方を推進する挑戦でもあるのです。

「ゴルフを通して、心が豊かになったり、国と国の関係が良くなったり、地方格差が解消したりという変化の一助になればと思っています」。試打室もある本社オフィスにて
「ゴルフを通して、心が豊かになったり、国と国の関係が良くなったり、地方格差が解消したりという変化の一助になればと思っています」。試打室もある本社オフィスにて

(構成:片瀬京子、編集:日経BP総研 中堅・中小企業経営センター)

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■変更履歴
記事掲載当初、本文中で「今のところ事業の比率は、売り上げ規模で言えば圧倒的にゴルフガレージが大きい」としていましたが、正しくは「圧倒的に物販が大きい」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです [2019/02/14 18:45]

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