2000年の創業以来、ゴルファーのための、主にネットを通じたサービスを拡大してきたゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)。その事業は、用品販売やゴルフ場予約、ゴルフ関連情報の発信だ。12年からは実地のスクール事業も開始。日本のゴルフ市場が縮小する中、同社は6期連続増収と成長してきた。あと5年は国内だけでも成長できるという石坂信也社長に、その裏付けと次の布石について聞いた。

会員数が350万人を超えるGDOは、もともとどのようなコンセプトの下にスタートしたサービスなのでしょうか。


石坂:2000年に起業したときから、ゴルファーのための総合サービスを志向していました。

 ネットビジネスとしては、かつて言われていた“ワンストップポータル”です。ゴルフ関連の情報を手に入れる、EC(電子商取引)でゴルフ用品を手に入れる、プレーするためにゴルフ場に予約を入れる、これら3つの機能をウェブサイト上に整えようと考えました。

 ゴルファーにとってゴルフは普段のライフスタイルの一部なので、これらの中のどれか1つでも、どこかにわざわざ出掛けないと完結しない、といった非日常的な活動になると非常に不便です。今もこれら3つは事業の柱です。

 起業してしばらくして意識するようになったことは、オンラインで便利なサービスを提供するとはいえ、本来リアルなアクティビティーであるゴルフに、もっと深く関わっていくにはどうすべきか、ということでした。

<span class="fontBold">石坂信也(いしざか・のぶや)</span><br />株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)代表取締役社長。1966年、東京都生まれ。一時米国で過ごす。90年、成蹊大学卒業後、三菱商事入社、99年、米ハーバード大学MBA修了、2000年に独立、GDOを設立し現職。米国を中心に海外生活時間が3分の2になるという。GDOゴルフテック代表取締役社長、キッズゴルフ代表取締役社長、米GDO Sports, Inc.代表取締役社長、米GolfTEC Enterprises, LLC代表取締役会長、ベルシステム24ホールディングス取締役を兼任。公職に日本スピードゴルフ協会会長(写真:山本祐之)
石坂信也(いしざか・のぶや)
株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)代表取締役社長。1966年、東京都生まれ。一時米国で過ごす。90年、成蹊大学卒業後、三菱商事入社、99年、米ハーバード大学MBA修了、2000年に独立、GDOを設立し現職。米国を中心に海外生活時間が3分の2になるという。GDOゴルフテック代表取締役社長、キッズゴルフ代表取締役社長、米GDO Sports, Inc.代表取締役社長、米GolfTEC Enterprises, LLC代表取締役会長、ベルシステム24ホールディングス取締役を兼任。公職に日本スピードゴルフ協会会長(写真:山本祐之)

オンラインの顧客に競技やイベントを提供

オンラインのサービスで、リアルなゴルフに関与することができるのでしょうか。


石坂:はい。

 オンラインサービスだけでなく、オンラインのお客様とリアルに接することができる場を新たに設けて、彼らのゴルフライフの利便性をもっと高めたり、お客様同士のコミュニティーづくりに一役買うというサービスです。私たちが手掛ける意義もあると考えました。

 リアルな場として、真剣勝負ができる試合、カジュアルに楽しめるコンペ、ゴルフ場巡りなど、さまざまなプレーの機会を長年提供してきています。

 ゴルフをデフォルメしたイベントも開催しているんですよ。

 例えば「スピードゴルフ」です。これはランニングとゴルフを組み合わせた高速ラウンドプレーで、協会を設立して大会を主催しています。

 地方活性化の取り組みとして、北海道の自治体などとタイアップして開催した「スノーゴルフ」や、地元の組合などと共催した夜に砂浜で楽しむ「ナイトゴルフ」もあります。ショッピングモールで、子供向けにおもちゃで楽しむゴルフ体験も開催していますが、これはゴルフの草の根の啓蒙・普及活動です。

 また07年にゴルフパラダイス(現ゴルフガレージ)という中古ゴルフ用品のチェーン店を取得したので用品販売の幅が広がったのと同時に、リアルな接点の場も増えることになりました。12年には、米国で出合ったゴルフテック(GOLFTEC)というスクールをメインにしたサービスを日本で始め、また一つリアルな場ができました。

 ゴルフテックは、新たな事業の柱と位置付けています。当社は今、これら4つの事業でお客様のゴルフライフをサポートし、これまでよりゴルフに触れやすく、また楽しみを広げてもらいたいと考えています。

 今のところ事業の比率は、売り上げ規模で言えば圧倒的に物販が大きい。ゴルフ用品販売の売り上げは全体のおよそ7割。約2割が予約手数料収入を中心にしたゴルフ場向けの事業です。残りの1割がゴルフ関連情報を発信しているメディア事業とゴルフテックとなります。この中で成長率が最も高いのはゴルフテックです。

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